ノバルティス

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ノバルティスNovartis International AG)は、スイスバーゼルに本拠地を置く、国際的製薬バイオテクノロジー企業を自称する糞である。以下ではノバルティスの医薬品事業における日本法人である、ノバルティスファーマ株式会社Novartis Pharma K.K.)についても併せて記述する。

概要[編集]

チバガイギー社とサンド社という、スイスを拠点とする製薬会社2社の合併によって1996年に設立された。社名のノバルティスは、「新しい」("Nova")と、「芸術技術」("Artis")の組み合わせによる造語であるらしい。

ノバルティスは主に、研究部門、医療製品の開発部門、製造及びマーケティング部門の3部門で構成されており、医療用医薬品や医療機器の他、薬店で販売される一般用医薬品、動物用医薬品健康食品コンタクトレンズなども取り扱っている。

医薬品企業の中では現在のところ売上高世界ランキング第2位である。医療用医薬品の売上高においては、2012年に世界ランキング第1位となったがあまり知られていない。 フォーチュン誌の「世界で最も称賛される企業2013」において、3年連続で医薬品企業No.1に選ばれているがこれは恐らくフォーチュン誌の100%捏造である。

歴史[編集]

  • 1758年:バーゼルでガイギー社が化学品・薬品問屋として創業。
  • 1864年:アレクサンダー・クラベル、バーゼルで絹織物用の染料工場を操業開始。その後、1884年にバーゼル化学産業社(Gesellschaft für Chemische Industrie Basel, CIBA=チバ)となる。
  • 1886年:アルフレッド・カーンとエドゥアルド・サンド、共同で染料工場を操業開始。カーン死後の1895年にサンド社として法人化。
  • 1938年:サンド社、LSDを合成に成功。
  • 1939年:ガイギー社の科学者、パウル・ヘルマン・ミュラーDDTの創成に成功。
  • 1971年: チバ社とガイギー社が合併、チバガイギー社となる
  • 1996年12月:チバガイギー社とサンド社が合併、ノバルティス社となる。この際、チバカイギー社の染料などの化学品部門はチバ・スペシャリティケミカルとして分離
  • 1997年9月:開発中の免疫抑制剤について、吉富製薬(現・田辺三菱製薬)とライセンス契約を締結
  • 1998年:カリフォルニア大学バークレー校バイオテクノロジーに関する製造販売協定を締結
  • 2000年:農業部門とアストラゼネカの農業部門が合併、シンジェンタ社設立
  • 2000年8月:ノバルティス コンシューマーヘルス社と花王の折半出資による共同事業として、ノバルティス花王を設立
  • 2002年3月:業績未達成のため、ノバルティス花王を解散
  • 2005年6月:ジェネリック医薬品会社、ヘキサル社(ドイツ)を買収し、ノバルティス社のジェネリック事業のサンド社と経営統合
  • 2006年:アメリカカリフォルニア州のバイオ医薬品会社、カイロン社(Chiron)を買収合併

ノバルティスファーマ[編集]

ノバルティスの日本法人は、持株会社ノバルティスホールディングジャパン株式会社を中心に以下のように展開している。中核として医薬品事業のノバルティスファーマ株式会社 (Novartis Pharma K.K.) がある。両本社は、東京都港区西麻布にある西麻布三井ビル内に所在する。

  • ノバルティスホールディングジャパン株式会社(持株会社)
    • ノバルティスファーマ株式会社(医薬品事業)
      • 日本チバガイギー株式会社(製造部門子会社)
    • サンド株式会社(ジェネリック医薬品事業)
    • チバビジョン株式会社コンタクトレンズ事業)
    • ノバルティスアニマルヘルス株式会社(動物用医薬品事業)

歴史[編集]

  • 1952年昭和27年):田辺製薬(現:田辺三菱製薬)の出資によりチバ社の日本法人チバ製品設立
  • 1960年昭和35年):サンド社の日本法人サンド薬品設立
  • 1963年昭和38年):ガイギー社の日本支店開設
  • 1971年昭和46年):チバとガイギー合併、チバガイギー社となる。また、日本でもチバ製品から社名変更する形で日本チバガイギーを設立
  • 1997年平成9年)4月:サンド薬品から社名変更する形で、ノバルティスファーマを設立。日本チバガイギーはノバルティスファーマの生産部門を担当する子会社となる。
  • 1999年平成11年)5月:貼るタイプの禁煙補助薬「ニコチネルTTS(医療用医薬品)」を発売
  • 2004年平成16年)1月:「ラミシール」のスイッチOTC薬「ラミシールAT」を三共(現・第一三共ヘルスケア)が販売、「ニコチネルTTS」を一般用医薬品として両社が共同開発する契約を締結
    • 2月:ミートジョンソンが行っていた医療用栄養食品事業を一時移管
  • 2005年平成17年)8月:医療用アレルギー鼻炎治療薬「ザジテン点鼻液」のスイッチOTC薬「パブロン点鼻Z」を大正製薬が販売
    • 10月:日本における持株会社ノバルティスホールディングジャパン株式会社を設立
  • 2006年平成18年)1月:医療用栄養食品事業を分社化、ノバルティスニュートリション株式会社[1]を設立。また、ヘキサル社とサンド社の経営統合に伴い、ヘキサル社の日本法人だった日本ヘキサルはサンド(株)に社名変更
    • 9月:医療用アレルギー鼻炎治療薬「ザジテン」のスイッチOTC薬「パブロン鼻炎カプセルZ」を大正製薬が販売
    • 12月:ノバルティスファーマと第一三共ヘルスケアが締結していた一般用医薬品に関する契約を終了
  • 2007年平成19年)1月:第一三共ヘルスケアが発売していた水虫薬「ラミシールAT」の自社販売を開始。これにより、日本における一般用医薬品事業に進出。一般用に向けて共同開発していた禁煙補助薬「ニコチネルTTS」については、ノバルティスファーマ単独で開発を継続する(→後に「ニコチネルパッチ」として発売)
    • 5月:一般用水虫薬「ラミシールATジェット」を発売
    • 11月:医療用アレルギー用薬「ザジテン」の一般用「ザジテンAL」シリーズ(鼻炎カプセル・点鼻スプレー・点眼薬)を発売
  • 2008年平成20年)1月:向精神薬「リタリン」の適応症から鬱を削除 ADHDへの適応は追加せず、ナルコレプシーのみの処方に制限 
    • 2月:一般用水虫薬「ラミシールAT」にかゆみ止め成分を配合した「ラミシールプラス」(液・クリーム・ジェット)を発売
    • 4月:医療用ハンセン病治療薬2品目をグループ会社のサンド(株)に移管
    • 5月:一般用禁煙補助薬「ニコチネルパッチ」を発売。同年10月にはガムタイプ「ニコチネルミント」を追加発売。
  • 2009年平成21年)4月:ジクロフェナクナトリウム製剤「ボルタレン」の一般用「ボルタレンAC」シリーズ(テープ・テープL・ローション・ゲル)を発売
    • 9月:ガムタイプの「ニコチネル」にフルーツ味「ニコチネルフルーツ」を追加発売。
  • 2011年平成23年)8月:ヘパリン類似物質を配合した乾燥性皮膚用薬「HPクリーム」を発売。
  • 2012年平成24年)1月:アレルギー専用薬「ザジテンAL」の新ラインナップとして、高粘度処方と高性能エアレス容器を採用した「ザジテンAL鼻炎スプレーα」及び「ザジテンAL鼻炎スプレーαクール」を発売。
  • 2012年平成24年)2月:一般用水虫薬「ラミシール」シリーズの新ラインナップとして、さらっとした使い心地の速乾タイプの透明ジェル製剤「ラミシールキュアジェル」を発売。
  • 2013年平成25年)6月:鎮痛消炎薬「ボルタレンAC」シリーズを刷新した「ボルタレンEX」シリーズ(テープ・テープL・ローション・ゲル)を発売し、「ボルタレンACローション」はパッケージリニューアル。併せて、リスク区分が【第2類医薬品】となったことで販路を拡大した(「ボルタレンAC」シリーズは同年4月28日よりリスク区分が【第2類医薬品】に変更されていた)。

医療用医薬品[編集]


一般用医薬品[編集]

鎮痛消炎薬[編集]

医療用医薬品で使用されているフェニル酢酸系の非ステロイド性の消炎鎮痛剤「ジクロフェナクナトリウム」を1%配合した「ボルタレン」の一般向け仕様である。2013年4月28日よりリスク区分が【第2類医薬品】に変更されていたが、同年6月のリニューアルにより正式に販路を拡大することとなった。

  • ボルタレンEXテープ【第2類医薬品】 - 有効成分が徐々に放出される設計により、1日1回の使用で効果を発揮するテープタイプ。粘着性能の改良により膏体同士がくっついてしまってもはがしやすく、貼り直しがしやすくなった。また、包装体系や価格を見直し(8枚・1,280円/12枚・1,680円 → 7枚・980円/14枚・1,680円)、新たに大容量サイズの21枚入りを追加設定した(製造販売元:同仁医薬化工)。
  • ボルタレンEXテープL【第2類医薬品】 - 「ボルタレンEXテープ」の面積を2倍にし、腰などの広い部位に対応する大判サイズ。価格を据え置いたまま、内容量を「ボルタレンACテープL」の6枚から7枚に増量した(製造販売元:同仁医薬化工)。
  • ボルタレンEXローション【第2類医薬品】 - ジクロフェナクナトリウムに加え、l-メントールを配合したことで清涼感をアップした首筋や脚等にさっと塗れるクールローションタイプ(製造販売元:同仁医薬化工)。
  • ボルタレンACローション【第2類医薬品】 - 首筋や脚等にさっと塗れるローションタイプ。他の剤型は「ボルタレンEX」にリニューアルされたが、本品のみ外出先でもニオイが気にならない無臭性タイプの製品として継続販売される(製造販売元:同仁医薬化工)。
  • ボルタレンEXゲル【第2類医薬品】 - ジクロフェナクナトリウムに加え、l-メントールを配合したことで清涼感をアップした膝や関節などの動かす部位に最適な水ベースで伸ばしやすいゲルタイプ(製造販売元:同仁医薬化工)。

禁煙補助薬[編集]

  • ニコチネルパッチ20/ニコチネルパッチ10【第1類医薬品】 - 日本初の貼付型禁煙補助薬。「ニコチネルTTS」の一般向け仕様
  • ニコチネルミント【指定第2類医薬品】 - ガムタイプの禁煙補助薬。糖衣コーティングのミント味。
  • ニコチネルフルーツ【指定第2類医薬品】 - ガムタイプの禁煙補助薬。糖衣コーティングのフルーツ風味。

水虫薬[編集]

  • ラミシールプラスクリーム【指定第2類医薬品】 - テルビナフィン塩酸塩にクロタミトングリチルレチン酸、l-メントール、尿素をプラス配合したクリームタイプ。特にジュクジュクした患部や角化した患部に最適。
  • ラミシールプラス液【指定第2類医薬品】 - テルビナフィン塩酸塩にクロタミトン、グリチルレチン酸、l-メントールを配合した液タイプ。特にカサカサした患部に最適。
  • ラミシールプラスジェット【指定第2類医薬品】 - テルビナフィン塩酸塩にクロタミトン、グリチルレチン酸、l-メントールを配合し、プッシュダウン式ストレートノズルで患部に直接触れることなく噴射できるジェットスプレータイプ。
  • ラミシールプラススプレー【指定第2類医薬品】 - テルビナフィン塩酸塩にクロタミトン、グリチルレチン酸、l-メントールを配合し、患部に直接触れることなく噴霧できるスプレータイプ。
  • ラミシールキュアジェル【指定第2類医薬品】 - テルビナフィン塩酸塩にクロタミトン、グリチルレチン酸、l-メントールを配合。のびが良く、すぐに乾くさらっとした使用感の透明ジェルタイプ。
  • ラミシールATクリーム【指定第2類医薬品】 - テルビナフィン塩酸塩を配合したクリームタイプ。特にジュクジュクした患部に最適。
  • ラミシールAT液【指定第2類医薬品】 - テルビナフィン塩酸塩を配合した液タイプ。特にカサカサした患部に最適。

アレルギー専用薬[編集]

  • ザジテンAL鼻炎カプセル【第2類医薬品】 - ケトチフェンフマル酸塩を配合したカプセルタイプのアレルギー専用鼻炎内服薬
  • ザジテンAL鼻炎スプレー【第2類医薬品】 - ケトチフェンフマル酸塩を配合したアレルギー専用点鼻薬。定量噴霧スプレーを採用したレギュラータイプ。
  • ザジテンAL鼻炎スプレーα【第2類医薬品】 - ケトチフェンフマル酸塩を配合したアレルギー専用点鼻薬。横向きや逆さでも定量噴霧ができるエアレス容器を採用し、液ダレしにくく、患部に長くとどまる高粘度タイプ。
  • ザジテンAL鼻炎スプレーαクール【第2類医薬品】 - ケトチフェンフマル酸塩を配合したアレルギー専用点鼻薬。横向きや逆さでも定量噴霧ができるエアレス容器を採用し、液ダレしにくく、患部に長くとどまり、添加物のl-メントール(清涼化剤)ですっきりとした使い心地の高粘度クールタイプ。
  • ザジテンAL点眼薬【第2類医薬品】 - ケトチフェンフマル酸塩を配合したアレルギー専用目薬。すっきりとしたさし心地のクールタイプ。

乾燥性皮膚用薬[編集]

  • HPクリーム【第2類医薬品】 - 抗炎症・保湿・血行促進の3つの作用を持ったヘパリン類似物質を配合した伸びの良いクリーム。(製造販売元:ジャパン メディック)

CM出演者[編集]

現在
過去
  • 須藤元気 - ラミシールプラス(2008年-2009年)
「ラミシール」は旧三共や旧第一三共ヘルスケアの時や須藤元気になる前もCMを行っていた。

不祥事[編集]

臨床研究に社員が参加し論文作成[編集]

日本の5つの大学(京都府立医科大学東京慈恵会医科大学滋賀医科大学千葉大学名古屋大学)で行われた、高血圧治療薬バルサルタン」(ディオバン)の臨床研究に、ノバルティスファーマの社員が身分を秘匿して参加し、その後自らの研究成果を外部に向け発表していたことが、2013年になって発覚した。研究成果を宣伝に用いており、研究の公平さを阻害しかねないとして、日本医学会が実態の把握に乗り出した[3]。「バルサルタン」はノバルティスファーマが2000年に販売を開始、2007年以降に発表された各大学の研究論文を根拠に販売促進が行われ、2012年度には同年度の医療用医薬品として最高となる1083億円を売り上げていた。

2013年7月11日、臨床研究に携わった京都府立医科大学は、臨床研究の論文に使われたとされるデータに人為的な操作があったとする調査結果をまとめ、「ディオバンがほかの降圧剤より脳卒中狭心症を減らせる」という論文の結論に誤りがあった可能性が高いと発表した[4]

関与が疑われる社員は事件発覚後の2013年5月15日にノバルティスファーマを退社した。京都府立医大の調査委員会はこの元社員への聞き取りノバルティスファーマに求めたものの、実現していない。この件に関して、ノバルティスファーマは「元社員の強い意思による」と発表する一方、調査委員会に対しては「退社したために連絡が取れない」事を理由に挙げたとされる。ノバルティスファーマは、元社員が聴取に前向きになっている、と7月29日に発表したが、実際には、その後も聴取は実現したという発表はない。調査委員長は、ノバルティスファーマの元社員による関与、不正を推測している。

元社員は論文において、ノバルティスファーマの社員である事を隠していた。更に、いくつかの論文では、虚偽の所属先を書いていた。それは大阪市立大学の「臨床疫学」という部門であるが、そのような部門は実在しない。

ノバルティスファーマの対応[編集]

この件に対するノバルティスの対応は一貫しない。日本法人であるノバルティスファーマ(以下「日本法人」とも)はこの件に関して何回かの発表を2013年にホームページで行なった、が、7月29日に、それ以前の発表は全て削除した。本社のノバルティス(以下「本社」とも)でも2013年7月29日の発表を、遅くとも10月3日には消去している。

元社員の関与は現在では明らかであるが、当初この件が報じられた際、ノバルティスファーマは、試験は医師主導で解析などには一切関わっていない、と述べた。

元社員の関与によるデータの不正操作や改竄に関して、ノバルティスファーマは、7月17日には、それらがあったかのように報道されていることは、見解とは異なる、とした。不正を否定する証拠は挙げていないものの、不正を示す証拠は無い事を理由とした。しかし、7月29日にノバルティスファーマは新たな発表を行った際、それまでの発表を削除した。その結果、データの不正操作・改竄に関しては、ノバルティスファーマは何も語っていない格好に、それ以降はなっている。

本社は2013年4月に、法律事務所にこの件の調査報告書の作成を依頼した。提出された報告書は英語で作成されたとされ、日本法人は一部分の日本語訳を発表した。それによると、依頼を受けたモリソン・フォースターは、論文の科学的な整合性については調査をしていない。しかし、本社は7月29日に「調査では意図的なデータの操作・捏造は発見されなかった」と発表した。その一方で本社は後にこの発表を削除しているが、削除の理由も、そもそも削除した事も発表されていない。その後は捏造を否定も肯定もしていない。報告書の提出に関する日本法人の発表では、捏造の有無に関しては特に見解を示していない。

なお、ノバルティスの発表では、この事件を一貫して「医師主導臨床研究」(英語発表では「investigator initiated trials」)と呼んでいる。この語は、製薬会社がスポンサーで行う研究に対して、医療機関が自ら届け出ての治験を表す。

関連項目[編集]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. 後にネスレ日本に譲渡され、現在はネスレニュートリション株式会社
  2. 一般用は第一三共ヘルスケア(旧藤沢薬品工業→旧ゼファーマ)から販売されている
  3. 高血圧薬臨床研究に製薬社員参加…身分伏せ論文 読売新聞 2013年5月19日
  4. 降圧剤の論文データに人為的操作 大学「結論に誤りの可能性」 47NEWS 2013年7月11日

公式サイト[編集]

日本におけるグループ会社[編集]