パスポート

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パスポート(passport)、旅券(りょけん)とは、政府ないしそれに相当する公的機関が交付し、国外に渡航する者に国籍及びその他身分に関する事項に証明を与え、外国官憲に保護を依頼する公文書である。

パスポートの概要[編集]

パスポートは、国際移動する場合に原則必要なものであり、査証(ビザ)はパスポートに刻印ないし貼付される。査証が渡航先の政府による出入国管理であるのに対し、旅券は渡航元政府による出入国管理の役割を果たしている。旅券に関する標準文書は国際民間航空機関(ICAO)において制定されている。 日本においては、旅券発行機関である外務省、旅券課、管理班は、警察庁の兼務で外務省に出向しているケースが多く、また、その職員らも警察庁と日常的に連携しており、一般国民の思想調査、行動把握に外務省が貢献している。

国(政府)が発行する公的書類として、自らの国籍国外においては身分を証明する最も公的で通用度の高い身分証明書とされるばかりでなく、自国内においても身分証明書として利用されている。

歴史[編集]

所有者が国籍を持つ国だけが発給する複数の旅行・複数の目的地で有効な現代のパスポートの概念は、20世紀中頃から始まったものである。それ以前は一般的に、どの国からでも誰にも発給することができた。しかしその有効期限は非常に限定されており、通常一回の旅行用であった。ローマ帝国時代には既に形式が出来ており、“この旅行者に危害を加える者は、ローマ皇帝に宣戦したものと看做す”の一文(旅行者の人身保護規定文)が記入されていた。

このように、初期のパスポートは、現代のパスポートというより査証に類似しており、その主な機能は、所有者の身分と国籍を証明するものである。1920年代まで、パスポートは一枚の紙面であった。現在の冊子形式のパスポートは、英国の市販製品に起源を持ち、それは入出国証印のための冊子が入った、パスポート用の小さなポケットを備えたの小物入れであった。数年後英国政府が、このデザインをコピーした。

パスポート (passport) という言葉は、海港 (sea port) だけでなく、都市城壁の門 (porte) を通過するために要求された中世の文書が起源であると考えられる。中世ヨーロッパでは、かかる文書を、地方当局より誰にでも発給することができ、通常所有者に通過を許可した町や都市のリストが含まれていた。フランスでは、1793年、国内外を問わずすべてのフランス人旅行者に居住地の警察署が発行するパスポートの取得を義務づけている。この制度は1860年代まで続いた。

この時代、開かれた貿易地点であると考えられた海港への移動では、パスポートはあまり求められなかったが、そこから内陸の都市へと移動するには必要であった。初期パスポートは、必ずではないが多くの場合、所有者の身体に関する記述を、20世紀初頭の頃のみであるが写真と共に収容していた。

国内でのパスポート携帯は、西ヨーロッパでは19世紀半ばには廃れた。一方旧ソビエト連邦など、社会主義国では国内パスポートの義務付けが行われていた。日本でも戦時中は「旅行許可証」が発給され、保持していない者は移動が許されなかった。

日本最初のパスポートは、住所、氏名、年齢以外に目、鼻、口、顔など写真が普及していない時代に顔の特徴が明記されていた。

国際民間航空機関(ICAO)の役割[編集]

第一次世界大戦の後、国際連盟におけるInternational Conference on Passports, Customs Formalities and Through Tickets(仮訳:旅券、通関手続きと通し切符に関する国際協議会)、後に国際連合国際民間航空機関(ICAO)が、パスポートのレイアウトと機能についての標準ガイドラインを発行した。これらのガイドラインは、現代のパスポートを大きく方向付けてきた。

ICパスポートの導入[編集]

ICAOは偽造防止・利用者の利便性向上のためICパスポート導入を検討し、2005年に国際標準を策定。アメリカ同時多発テロ事件後のテロリズム対策の強化などもあり、各国はICパスポートの導入を進めている[1]

特にアメリカ政府アメリカ国土安全保障省出入国管理及び市民権局)は、テロ対策に伴なう入国管理強化の一環として、諸外国にパスポートへのICチップ技術の導入を各国に強力に求めているため、生体認証のための情報などをICチップに記録しようとする動きが起こっている。

日本のパスポート(旅券)について[編集]

日本の法令上では、パスポートのことを旅券(りょけん)と呼ぶ。詳細は、旅券法(昭和26年法律第267号)、旅券法施行令(平成元年政令第122号)、旅券法施行規則(平成元年外務省令第11号)により定められている。

種類・様態[編集]

日本には、(一般)旅券・公用旅券・外交旅券の3種類のパスポートがある。いずれの旅券にも、日本の在外公館において国章として慣例的に用いられている菊花紋章十六弁八重表菊紋天皇家の紋章でもある)に似た「十六弁一重表菊紋」が、表紙中央に印刷されている。また、身分事項ページの顔写真上部には、首相・政府(内閣)・皇室の慣例的な紋章であり、国章に準ずる桐紋「五七花紋」(ごしちのきりかもん)が印刷されている。

なお、サイズはB7サイズ(ISO規格のものであって、JIS規格ではない)である。

  • (一般)旅券 - 一般的なパスポート
    • 有効期間は、5年用(紺色)と10年用(赤色)の2種類がある。成人者はどちらにするか選択できるが、未成年者は5年用しか取得できない。これは「未成年者は成長に伴う容貌の変動が著しい」とみなされているため。
    • 現在は、期限内なら何度でも出帰国できる「数次旅券」が原則となっているが、以前は1回の渡航のみに使用できる「一次旅券」も自由に申請・取得できた(法令上は一次旅券制度自体は残っているが例外的運用となっている)。
    • 通常は渡航先がすべての国と地域となっている[2]が、犯罪を犯したり検察庁から公訴を提起されている者・仮出所中・執行猶予中など事情がある者については、行き先や有効期限が制限されたパスポートが交付されたり、申請を却下される事もある。
  • (限定)旅券 - 国がマークする国民に発行するパスポート
    • 旅券法第13条の該当する者に対し、有効期間、渡航先は、外務大臣等が判断し発行される。基本的に限定旅券申請する制度はなく、一般旅券を申請すると、結果的に限定旅券とされるが、その基礎事実があいまいにため、外務省が補正と称して、申請者に自認をしないと旅券を発行しないとして、旅券法第13条の該当を無理やり「渡航事情説明書」と称し自認させ、警察庁が調査し限定旅券交付する手法をとっている。
  • 公用旅券 (OFFICIAL PASSPORT) - 国会議員や一般の公務員、公的機関の職員等が公務で外国へ渡航する場合に交付される。
    • 「OFFICIAL PASSPORT」表記で緑色の表紙
    • 渡航地まで往復の一次旅券が原則だが、渡航が頻繁な者に限って数次公用旅券が発給され、またヨーロッパなどへの派遣の場合、申請によって渡航先を増やす事も出来る。
    • 一般旅券とは内容も違い、身分証欄には名義人の官職名や旅行目的(普通は「政府(所属機関)の命による」である)が記載されている。また、「注意」の欄には旅券法違反時の罰則についての説明書きが無い。
  • 外交旅券(DIPLOMATIC PASSPORT) - 皇族外交官やその家族、三権の長や大臣等の政府高官が、公務で渡航する場合に交付される。
    • 「DIPLOMATIC PASSPORT」表記、濃茶色の表紙
    • 渡航地までの往復の一次旅券が原則だが、渡航が頻繁な者(職業外交官など)に限って数次外交旅券が発給される。公用旅券同様、身分証欄には名義人の官職名があり、「注意」の欄には旅券法違反時の罰則についての説明書きが無い。
    • なお、外交旅券を所持している者が必ずしも外交特権を享受できるわけではない。外交特権を享受するためには、名義人が国家元首総理大臣外務大臣等であるか、又は接受国に外交官として接受されている必要がある。逆に、一般旅券あるいは公用旅券のみ所持している者でも、接受国に外交官として接受されていれば、外交特権を有する(日本では外交団員として登録され「外交官等身分証明票」を交付されている事)。

なお、天皇皇后は国際慣習上国家元首という位置づけにより旅券は必要無い。

この他に、渡航先で旅券を紛失して再発給を待つ時間が無いなどの理由がある人に対し、日本へ帰国する渡航中に使用するための1回限り使用可能な渡航文書として「帰国のための渡航書」が交付される。この場合は当該渡航書の発給と同時に日本の外務省の記録上でそれまで所持していた旅券が無効化されるため、元の旅券が後日発見されても使用することはできず、新たに旅券取得の手続をする必要がある。また、“親族が外国で事故に巻き込まれ救援に出向く必要があるが自分の旅券が失効してしまっている(旅券を持っていない)”などという場合は即日または翌日発行の「緊急発行」という処理がある(通常は申請から交付通知発送まで1週間ほどかかる)。

日本に到着後の入国審査官による帰国手続の際、船員手帳しか持っていない、パスポートの期限が失効していた等々の理由で帰国確認の証印を押せない場合は、「帰国証明書」が交付される。こちらは「帰国のための渡航書」のように外務省が発行する文書でなく、法務省地方入国管理局に属する入国審査官の判断・都合により交付されるもの(渡航文書の代替でなく証印の代替)に過ぎないため、法令上直ちに元の旅券が失効とはならない。

また現在の日本で唯一の「住所が本人手書きで、住民票と異なる住所の記載が許容される写真付きの公的な本人確認書類

記載事項[編集]

一般旅券の身分事項のページには以下の事項が記載されている。

  • 型 - パスポートの頭文字『P』
  • 発行国 - 『JPN』
  • 旅券番号
  • 姓 - 原則としてヘボン式ローマ字大文字)で記載。別表記が認められた場合はそれを括弧で付記 [例:SATO(SATOH)](但し、2008年2月より規定が緩和され、明確な理由・主義・理念・信条等があってその旨を申請し、また今後一生涯そのスペリングを変更しない旨の誓約書を提出すれば、非英語式{非ヘボン式}でも受理されるようになった)
  • 名 - 同上
  • 国籍 - 『JAPAN』
  • 生年月日 - 『DD MMM YYYY』の形式で記載(MMMは英語月名の頭3文字。以下同じ)
  • 性別 - 男性は『M』、女性は『F』
  • 本籍 - 本籍地の都道府県名のみヘボン式ローマ字(大文字)で記載
  • 発行年月日 - 『DD MMM YYYY』の形式で記載
  • 有効期間満了日 - 『DD MMM YYYY』の形式で記載
  • 所持人自署 - 申請書に書いた署名が転写される
  • 発行官庁 - 日本国内で発行された場合は『MINISTRY OF FOREIGN AFFAIRS』(つまり外務省)、在外公館で発行された場合は当該公館の英語名称


また、次のような外務大臣要請文(日本語及び英語)が表紙裏面(非IC旅券は身分事項ページの次葉)に記載されている。

日本語

『日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。 日本国外務大臣(公印)』

英語

『The Minister for Foreign Affairs of Japan requests all those whom it may concern to allow the bearer, a Japanese national, to pass freely and without hindrance and, in case of need, to afford him or her every possible aid and protection. 』


  • ICパスポート化されてから、身分事項の一部文字に白抜きマイクロ文字が追加されている。
    • 型の「P」の縦棒の部分に、旅券最終ページに記載してある「交付官庁」の4桁番号が縦に挿入されている。
    • 発行国「JPN」のそれぞれ縦棒(Nは左側)に、生年月日が挿入されており、Jには西暦の下二桁、Pには月、Nには日が挿入されている。

ICパスポート[編集]

外務省2006年3月以降、アメリカ合衆国(国土安全保障省)の強い要請により一般・公用・外交全種の旅券においてICパスポート(バイオメトリック・パスポート)を導入、交付を開始した(導入を拒否すると査証免除プログラム適用が受けられなくなり、観光に重大な影響が生じる)。旅券の表紙にはICパスポートを示す世界共通マークが表示されており、後半の厚めのページにICチップが埋め込まれている。現在は顔写真のみが電磁的記録されているが、将来的には、生体認証虹彩認証、指紋認証、顔認証など)を利用した出入国管理を行う計画があり、現在関係省庁において実験(e-Passport 連携実証実験)及び検討が行なわれている[3]

ICパスポートは、バイオメトリック・パスポートとして知られ、海外においてはeパスポート(e-Passport/e-passport)と呼ばれることもある。すでに世界で50カ国を超える国がバイオメトリック・パスポート(eパスポート)を導入している[1]。またICパスポートやICを搭載したIDカードを導入した地域では、自動出入国システムの設置も順次進んでいる。

日本では2007年11月より、成田空港自動化ゲートが設置された。アジアにおいてもシンガポールチャンギ空港や、シンガポールとマレーシア国境における自動出入国システム、香港と中国シンセンの出入境に置かれた香港居民のための「e-chanel/e-道」などがすでに運用されている。

申請(一般旅券の場合)[編集]

旅券は、原則として住民票のある都道府県の旅券窓口(パスポートセンター)で申請する。海外からの一時帰国者など住所のない者については、一時滞在地での申請が認められるなどの例外がある。申請手続の正確な情報については、当該窓口、外務省の公式サイトや各都道府県のパスポート関係のサイトを参照。

一般に国内窓口での初申請において必要とされるものとしては、

  • 申請用紙 - 窓口、支庁市・区役所・町村役場等に用意してある。2005年12月10日から、罰則関係欄の事項が追加された新しい申請用紙になった。また2006年3月20日からの写真サイズ変更に伴い、該当部分の説明が変更されている。
  • 身分を証明する文書(運転免許証等)
  • 戸籍謄本・戸籍抄本(戸籍が電子化されている市町村では戸籍全部事項証明書または戸籍個人事項証明書)
  • 住民票の写し - 住基ネットに接続されている自治体住民は不要。ただし、長野県(県の方針による)のような例外もある。住民票が必要な場合、宮城県など、本籍地の記載を求められる場合もある。住基ネットの利用ができない自治体住民である場合はもちろん、接続されていても利用を希望しない(拒否する)場合には必要。
  • パスポート用の顔写真 - 写っている顔の大きさに制限があるので、撮影の際には注意すること(2006年3月20日以降の申請から、ICチップ内蔵型旅券発給開始に伴い、申請用写真の規格が変更された)。眼鏡を使用している場合、かけたままでも構わないが、光がレンズに反射する場合等は不可の場合がある。
  • 印鑑 - 書類への押捺を済ませていても、記載事項訂正を要する場合に備えて認印(身分証明を印鑑証明で行なう場合は登録印章)を持参する。 

※2009年3月1日以降の申請から、それまで必要だったはがきは不要となった。以前は、未使用のはがきに、宛先として住民票記載の住所及び氏名を記載したものが必要だった(家族が同時申請する場合ははがきは1枚で良かった)。発給準備が整うとこのはがきが通知として使われ、申請者はそのはがきを持参・提出して受け取る事になっていた。

申請については、本人以外でも、同居親族が代行できる(続柄の証明が必要)が、受け取りは本人が必ず出向かなければならない。なお、未成年者の申請は親権者の同意が必要となる。

以下のようなケースでは、必要書類が異なるので確認すること。

  • 国外(在外公館)で申請する場合
  • ページの残りが足りなくなった場合(増補 - 1回しか認められない。2回目からは新規発給となる)
    • 上記の場合は、住民票のある都道府県の旅券事務所に「一般旅券査証欄増補申請書」を提出する。40ページからなる増補(すべて査証用ページ)が末尾に挿入・編綴される。日本と海外の渡航の反復が多いビジネスマンなどに需要がある。
    • この増補は、旅券の使用途中に行い得るだけでなく、新規発給の際に同時に申請する(つまり最初から40ページ多い状態で発給を受ける)ことも可能である。

なおパスポート申請についても電子申請制度が導入されたことがあった。しかし、2005年度の利用が103件に留まり、財務省予算執行調査で1件あたりの経費が1,600万円程度かかっていることなどが指摘され、2006年に廃止された。

旅券法改正により、2006年から旅券事務が市町村でも可能になり、岡山県広島県では、住民票のある市町村役場で申請・受領を行うようになっている。また、北海道新潟県などは、指定された一部の市町村の住民については、市町村役場での手続きとなる。

受領(一般旅券の場合)[編集]

パスポートの受取りに必要な書類は次のとおり。申請は親族・旅行業者などによる代行が広く認められているが、受領に関しては(別人による不正受給防止などの観点から)原則として本人が直接窓口で対面形式で受領することが必要となる。

  • 一般旅券受領書(申請受理時に都道府県庁の窓口において申請者(代行者含む)に交付)
  • 所定の手数料に相当する収入印紙(旅券申請窓口か郵便局において購入)及び都道府県収入証紙(旅券申請窓口などで購入)
  • (2009年2月28日までに提出された申請の場合は)都道府県から本人あて送付を受けた官製はがき
    • 2009年3月1日以降提出の申請の場合、受領時のはがきの提出制度は廃止された。

受領の期限[編集]

パスポートは発行の日から6か月以内民法第140条の規定により発行当日不算入)に受領しないと失効する。その後に改めて発行を希望する場合は再び新規発給申請の手続きをとる。前回の申請の受領書と官製はがきの提出を要求されることがあるが必ずしも必要ではない。

日本のパスポートの歴史[編集]

  • 1866年慶応2年)日本初のパスポート誕生、当時は「ご印章」と呼ばれ、学業・商業のみの利用制限であった。留学経験者やフランスの役人の話を元に、1枚の和紙に墨で書かれた。写真の代わりに、容姿の特徴が書かれてある。
  • 1878年明治11年)2月20日 「海外旅券規則」において初めて法的に「旅券」という用語が使われた。その120年後にあたる1998年(平成10年)に、これを記念して2月20日を「旅券の日」と制定した。
  • 1992年平成4年)11月1日 国際的な基準に従い、機械読取り式旅券(Machine Readable Passport=MRP旅券)の発給が開始される。
  • 1995年(平成7年)11月1日 それまでの有効期間5年間のものに加えて10年間有効の旅券も発行されるようになった。ただし、未成年者の場合は5年間のものしか取得できない。
  • 2004年(平成16年)3月29日 岡山県で、全国初の電子申請開始。以後各県で開始される。
  • 2006年(平成18年)3月20日 ICチップ内蔵型旅券の発給受付開始。
  • 2006年(平成18年)9月30日 電子申請終了

備考[編集]

パスポート盗難[編集]

外国において日本のパスポートは盗難の被害に遭いやすい。これは日本が多くの国と友好な外交関係を結んでおり、ビザなしで入国できる国が多いことが挙げられる。外国ではパスポートは「日本国民」であるという証明であり国際的に通用する身分証明書であるため国外滞在中に紛失・盗難すると再発行されるまで帰国できなくなる。

団体の代表者・引率者・添乗員等がまとめて保管しているのは盗難の格好の的となるため、日本政府は旅行代理店に対し添乗員等がパスポートを不用意に預かってはならないと指導している。

アメリカ入国に関する注意点[編集]

アメリカでは2006年10月26日以降に発給されたパスポートは、ICパスポート(バイオメトリック・パスポート)でなければ査証(ビザ)免除措置は受けられない。

日本では2006年3月20日以降、ICパスポート(バイオメトリック・パスポート)の発給を開始している。それ以前に発給されたパスポートも、機械読み取り式旅券であれば(日本国内で発行された日本旅券は全て機械読み取り式旅券)、2006年10月26日以降もビザなしでアメリカへの入国が可能。

リビア入国に関する注意点[編集]

リビアでは2007年11月以降にアラビア語併記の無いパスポートでの入国はできなくなった。そのため、現在リビアに入国するためにはあらかじめパスポートにアラビア語併記の手続きをしておく必要がある。

セカンド・パスポート[編集]

パスポートといえば、通常は自国民に対して交付するパスポート(ナショナル・パスポート)が一般的だが、その他にもさまざまな種類のパスポート・渡航文書が存在する。

  • 自国と関係の深い外国人等に便宜的に交付する外国人パスポート(Foreign Passport)
  • 外国人に対し自国への再入国を担保(再入国許可)する為に交付する再入国許可書(ナショナルパスポートに直接交付される再入国許可証とは違う物)
  • 難民条約・難民議定書に基づき認定された難民に対し難民を庇護している国が交付する難民旅行証明書(日本では外務省ではなく法務省が発行)
  • 敵視し合っている・交戦状態にある複数の国へ渡航する必要がある場合に申請する2冊目のパスポート[4]
  • 互いに相手国の存在を認めていない場合に、その地域を訪問するために、パスポートの代わりに利用される身分証明書。韓国人が北朝鮮に渡航する為の「訪問証明書」や「観光証」(開城金剛山観光用)、台湾人が中国大陸に渡航する為の「台湾居民来往大陸通行証」や、中国人が台湾を訪問するための「中華民国台湾地区入出境許可証」

などがある。いずれもビザなどの押印ができるように冊子型の体裁を整えている。

また、政府以外の機関がパスポートに相当すると主張しているものとして、

  • いくつかの非公的機関が、旅券に偽したカモフラージュ・パスポートと呼ばれるものを提供している。発行元の非公的機関は、いくつかの国で、場合によってはビザの発行などが認められることもあると主張している。
  • 多額の投資と一定期間の居住により市民権を得た後、パスポートの発行を申請する事が出来る国があると主張する業者も存在する。主な用途としては、租税回避、テロ回避(米国パスポートを所持しているとテロリストに狙われやすい)などが主張されている。

国際機関が発行する渡航文書[編集]

その職務の特殊性から、国際連合(レセパセ)・国際赤十字などの国際機関が発行する渡航文書も存在する。

パスポートの代替[編集]

関係が良好で交流が盛んな国の間では、その他の身分証での入国が認められたり(例:EU)、旅券による出入国管理自体が行われていなかったりする所もある[5]

また、独自の出入境管理を行っている香港では、居住者は所持を義務付けられているIDカード(香港IC身分証)で出入境が可能で、e-道という自動出入境ゲートがある(IC身分証を持っている香港在留資格のある外国人も利用できる)。

同様の自動出入境ゲートサービスがオランダのアムステルダム・スキポール空港にも存在する。

脚注[編集]

  1. 1.0 1.1 NXP Semiconductor 「世界中で導入されるeパスポート」
  2. かつては朝鮮民主主義人民共和国が除外されていた。
  3. http://www.cas.go.jp/jp/siryou/050114e-Passport.html
  4. 旅券法第4条の2但し書き。相手国のビザや出入国記録があるとスパイ行為を疑われる。例としてアラブ諸国ではイスラエルの入国記録が、イスラエルではアラブ諸国に滞在した記録があると入国が認められない。申請理由の「対立地域渡航」をマークする事で正当と認められれば許可される。
  5. 例:EU加盟国を中心としたシェンゲン協定批准各国内や、独立国家共同体内、「中南米カリブ海諸国機構」内(予定)。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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