満州語の語彙集

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'''満州語の語彙集'''(まんしゅうごのごいしゅう)では、満州語のいくつかの語彙を紹介する。 注意: 満州語の/e/は日本語の「エ」というよりも、「エ」と「オ」の中間の様な、[[朝鮮語]]の/e/(ハングルでは{{Lang|ko|어}})や中国普通話の/e/に近い音である。また、満州語の/s/は、特に語頭に於いては、[s]よりも[ts]の様に発音される傾向が強かったようである。これを考慮に入れれば、満州語と日本語の間に幾つか借用語らしい単語が見出される。例えば、日本語の「つな(綱)」と満州語のsuna(スナ、またはツナ = 「動物を繋ぎとめるための綱や縄」)<借用語だとしたら恐らく日本語から満州語へ;日本語の「しる(汁)」と満州語のsile(シレ・シロ、またはツィレ・ツィロ = 「汁; スープ」)<借用語だとしたら恐らく満州語から日本語へ、また日本語の「つゆ(汁)」を参照。しかし満州語のsile「汁」がモンゴル語との借用関係にある可能性がかなり高いようである(なお日本語のサ行は、古くは[ts]で発音されていた)。なお、十八世紀末頃、清朝支配下の中国に接触した西洋人が満州語を研究したところによれば、当時の満州語に於ける/b/, /d/, /g/は語頭では無声・無気の[p], [t], [k]の様に発音され、有声音(母音や有声子音)の間では有声・無気の[b], [d], [g]の様に発音された。この有気・無気による破裂音の対立も[[朝鮮語]]に通ずる現象である。 ;葉 :abdaha(アブダハ)(現代[[トルコ語]]「yaprak ヤプラク」(葉)や後期中世朝鮮語「niph(-i) ニピ」および現代朝鮮語「iph(-i) イピ」(葉)参照。[[漢語]]の「葉」(古代には「イェプ」と「ヨプ」の中間の様な音)も妙に似ているが、他人の空似なのだろうか。それとも、何らかの借用関係にあるのだろうか。) ;葉のある、葉の生い茂った; 扇子の如く幾重に折り畳んだ様子の :abdangga(アブダンガ) ;阿弥陀仏 :abida(アビダ) ;天、空、天気、皇帝 :abka(アブカ) ;雨 :古語ではabka(アブカ)、もっと近代の満州語ではagaまたはaha(アガ、アハ) ;雨傘 :agangga sara(アガンガ サラ) ;(わざと)会う、集まる; 合う、一つになる; 一致する、同意する、調和する; 仲が良い、仲直りする; 性交する、交尾する; 相当する、そぐう; 似合う、ふさわしい :aca(-mbi)(アチャンビ) ;微動する、揺れる :aci(-mbi)(アチンビ)(不規則活用なので過去・完了形は「acika アチカ」となる。) ;(荷を)積む :aci(-mbi)(アチンビ)(後期中世朝鮮語「jenc-e イェンジェ」及び現代朝鮮語「ənc-ə オンジョ」(「(何かの上に掛けて)置く」の意)を参照。) ;荷 :acin(アチン) ;イタッ!、アツッ!、熱い物に触れて痛く感じた時に発する感嘆詞 :acu(アチュ) ;誹謗、そしり :acuhiyan ;板; 筏(いかだ) :ada(アダ) ;伴う、お供をする; 付く、附く、近くにある、隣にある、隣り合う; (集団で狩猟をする時に狩人たちが)輪をつくる; 縫い合わせる、縫い付ける :ada(-mbi)(アダンビ) ;お隣さん、隣の家や人; 隣の、隣接する :adaki(アダキ) ;(~の)如く、同じ(く)、~みたいな、~の様な、~に似た :adali(アダリ)([[モンゴル語]]にも全く同じ語形があって、モンゴル語から借用されたと考えられる。) ;何となく~の様である、けっこう似ている :adalikan(アダリカン)或いはadaliliyan(アダリリヤン) ;折り襟 :adasun(アダスン) ;衣(ころも) :adu(アドゥ)(清朝の時代には既に古臭い単語となっていたらしくて、一般的に現代日本語の様に「服」と言う時には/etuku/(動詞/etu(-mbi)/「着る」から)という別の単語を使った。中世前期、[[女真]]語では*/hadu/(ハドゥ)と言った模様。この語の語頭の子音の喪失に関しては、下記の「amdun」の項を参照。) ;群れ、動物の数多く集まっているもの :adun(アドゥン)(モンゴル語からの借用語とも言われる) ;戦う、闘争する; 抵抗する、もがく、騒動する; ばったり会う、遭遇する; 受け持つ、赴任する、(責任や義務などを)負う :afa(-mbi)(アファンビ) ;リスト、章、頁、(紙などの)一枚、(湯葉などの様な)液体の上面に生ずる薄い膜 :afaha(アファハ)(古くは上記の「アブダハ(葉)」と同源か? [[ツングース諸語]]の語末の「-ハ」は大概「集結性を表す接尾辞」なのでまだ不明。) ;皇子、皇帝の息子; 御主、殿様、貴方様、人に対する敬称 :age(アゲ) ;器、道具、武器(つわもの); 豹の尾を取り付けた槍(皇宮の警備官が常時手に持っていた) :agūra, ahūra(アグラ、アフラ) ;奴、使用人、奴隷 :aha(アハ)(中世朝鮮語「ah@y アハイ、アホイ」および現代朝鮮語「ai アイ」または「æ: エー」(「子供」の意)参照。) ;兄; 年上の者(接頭辞的にも使われる) :ahūn(アフン)(複数形は/ahūta アフタ/「兄たち;年上の者たち」)(古典モンゴル語「aqa アカ」(兄)、現代ハルハ方言/axay アハイ/(伯母に対する敬称)、現代トルコ語「ağa アア、(古くは)アガ」(殿、主、地主、上司; (人名の後に付けて)~さん)などを参照。) ;何 :ai(アイ) ;どう、如何; どう(ですか?)、(何々をして)如何でしょうか? :anta(アンタ)またはanta-ka(アンタカ)またはanta-i(アンタイ) ;金、黄金 :aisin(アイシン)(古典[[モンゴル語]]「altan アルタン」、現代[[ハルハ方言]]「alt アルト」、現代[[トルコ語]]「altın アルトゥィン」(以上皆「黄金; 金貨; 黄金の、黄金で出来た」などの意)と同源の単語であることはほぼ確実だろう。いずれ借用語にせよ満州語に於ける本来の*/ti/または*/lti/またはひょっとしたら*/(l)ty/が何時の時代にか/si/に変化してしまったのだろうという事を暗示してくれます。[[女真]]語の時代には*alcuhuアルチュフという何者かの接尾辞の付いた語形でも用いられた様です。黄金という金属の採掘・鋳造などは白色人種系の民族(おそらくインドヨーロッパ語族に属すどれかの言語の使用者たち)によって東アジアにもたらされたのはほぼ確実の様なので、トルコ語・モンゴル語・満州語の「アルト」系の語彙はインドヨーロッパ系の言語に由来する可能性も考慮すべきであろう。英語の「gold」(黄金)、「golden」(黄金の、黄金で出来た、黄金の様な)など参照。) ;ムササビ、ももんがあ :akjambulu(アクジャンブル) ;雷 :akjan(アクジャン) ;ない、なく、なし(否定詞) :akū(アク)(動詞の様々な活用形と融合して使われることが多かった様です。例えば、/-ra/ ~ /-re/ ~ /-ro/(未然分詞をつくる活用語尾の、母音調和による三通りの交替形)に後続した場合には、融合して/-rakū/となった。また、akū o-ho(なく なっ-た、すなわち「亡くなった、死んだ」の意)という様に、様々な慣用表現の中にあらわれた。) ;告げる、報告する :ala(-mbi)(アランビ) ;粗い; 粗雑、あらっぽい、大雑把; 粗野、低俗 :albatu(アルバトゥ) ;(鶉を捕らえるための)網 :algan(アルガン) ;受ける、受け取る、受け入れる; 引き受ける; 耐える、こらえる、持つ; 支える; (漏れなどを)ふさぎ止める; (狩猟用の鷹を)手に受ける、手に乗せる :ali(-mbi)(アリンビ)(現代朝鮮語「ar-a アラ」(知る、わかる、心得る; 悟る、気付く; 覚える、念頭に置く; 与る、関与する; 経験する、感じる、感受する)や日本語「える(得る)」などを参照。) ;山 :alin(アリン)(「山茶花(さざんか)」は「alin-i cai ilha」、即ち「山の茶花」。「アリン」は韓国南方海上の[[済州島]]の方言「orim オリム」(「山」の意)を参照。元々は中期朝鮮語の動詞「or@- オロ、オラ」及び現代朝鮮語の「orŭ- オル」(oll-a オッラと言った風に活用、「上がる、登る」の意)と同源か。祖形は*/aγla- アグラ/の様な動詞語幹だろうと推測される。極東ロシアの[[シホテアリニ山脈]](シホテ=アリンとも、Sikhote-Alin)などの地名にも残っている) ;気乗りしない、退屈する、憂く思う、落ち込む、鬱する、心配する、案ずる :ališa(-mbi)(アリシャンビ) ;待つ; 悔いる、後悔する、悔しく思う :aliya(-mbi)(アリヤンビ)(後期中世朝鮮語「eri(-ta) エリダ」(バカだ、アホだ、のろい、にぶい)および現代朝鮮語「əri(-ta) オリダ」(幼い)、現代朝鮮語「əri-tæ(-ta) オリデーダ」(うろつく、ぶらつく; 色々と周りを見ながらゆっくり歩く)、「kitari(-ta) キダリダ」(待つ; 期待する、楽しみにする)を参照。) ;ぐずぐずする、ぶらつく、うろつく; あっちへ行ったりこっちへ行ったりしながら待つ、待ちながらうろうろする; 人が追いつけるように自分の歩調をゆるめる :aliyakiya(-mbi)(アリヤキヤンビ) ;父親; 家長、所帯主 :ama(アマ)(夫婦の男方の父親を「amaka アマカ」, 女方の父親を「amha アムハ」または「amhan アムハン」(お父さん)と呼んだ。母親を意味する満州語/eme/(エメ、オモ)はamaとは一対の母音調和の陰陽交替形を成している様で同源と思われる。) ;大きい :amba(アンバ)(日本語「おほ(大)」、「おも(重)」参照。また、アイヌ語ampene アンペネ、アンベネ(とても、大いに)と借用関係があるのだろうか。或いはアイヌ語「アンペネ、アンベネ」などは前史時代の日本祖語からの借用語なのだろうか) ;大官;重大な、大事な;大きな、大きいこと;大まかな、いいかげんな :amban(アンバン) ;追いついて捕らえる :ambu(-mbi)(アンブンビ) ;とても、非常に、大変 :ambula(アンブラ) ;母方の伯母 :ambu(アンブ) ;母方の伯母の夫 :ambuma(アンブマ) ;母方の伯母たち、母の姐たち :ambuta(アンブタ) ;膠、のり、鳥もち :amdun(アムドゥン)(現代朝鮮語kamthang(カムタン)「鳥もち;泥、泥濘」参照。朝鮮語のkamthangは語形が朝鮮語としては少し特殊なので、恐らく古い時代のツングース系のどれかの言語から取り入れた借用語だろうが、満州語のamdunと比較すると三つの示唆的な差異に気付く:一つ、満州語は少なくとも語頭に於いてなお/a/の前ではカ行・ガ行の様な何かの子音を喪失していること;二つ、語中の/md/の様な鼻音+有声破裂音は古くは/mt/の様に、後続する破裂音が無声で発音されていた可能性が高いこと;三つ、満州語の語末の鼻音/n/は日本語のいわゆる撥音「ん」に似た子音であり、調音の仕方による区別をされておらず、それを聞き取った朝鮮人にはngの様に聞こえたので、語末の子音が朝鮮語には/n/や/m/ではなく/ng/として取り入れられたのだろうということ。) ;家禽の雄 :amila(アミラ)(雌は母音の陰陽交替という現象によって「emile(エミレ)」と言う。) ;父方の伯父 :amji(アムジ) ;味、匂い、趣 :amtan (アムタン)(「amtan akū アムタン アク」は、「味が無い、不味い」或いは「趣が無い、面白くない」の意。) ;睡眠、眠り、眠け :amu(アム)(「寝る、眠る」は「amu gai(-mbi) アム ガインビ」(眠りを取る)、またはその語句が融合して出来た「amga(-mbi), amha(-mbi)」(アムガンビ、アムハンビ)で表す。) ;いつもと同じ、通常、平常、普通、一般 :an(アン) ;押す; 促す、催促する; 延ばす、延期する; 任ずる; かこつける、転嫁する、押しつける;(集団で狩猟をする時の狩人の輪を)おし広げる :ana(-mbi)(アナンビ)(現代朝鮮語「an-a アナ」(抱く、抱える; (親鳥が卵を)抱き孵す; (人の責任や任務を)引き受ける、負う)、日本語「うながす(促す)」、アイヌ語「ani アニ」(抱く、抱える、持つ; 取る)などを参照。) ;負ける :anabu(-mbi)(アナブンビ)(恐らく上記の/ana(-mbi)/「押す; 促す」の受身形から) ;勝敗、負けることと勝つことと、負けたり勝ったり、喪失と収得 :anabu-re ete-re(アナブレエテレ) ;鍵; かこつけ、言い訳、押しつけ :anakū(アナク)(「anakū jui」はその父親の死んだ後に生まれた子。「anakū fa」は引き戸式の窓のこと。) ;口;穴、開き、隙間;峠、関、門 :angga(アンガ) ;現在または未来の年 :aniya(アニヤ) ;言い交わした友、親友; 幼馴染み :anda(アンダ)(日本語「あだ名」の「あだ」と関係があるのだろうか。) ;瞬間、ごく短い間 :andan(アンダン) ;途中(に、の)、道中 :andala(アンダラ) ;道のりの半分、半道 :andasi(アンダシ)或いはaldasi(アルダシ) ;恥じる、恥ずかしがる :andahala(-mbi)(アンダハランビ) ;照れる、恥ずかしくて赤面する :andahaša(-mbi)(アンダハシャンビ) ;(子供が)人見知りする :andara(-mbi)(アンダランビ) ;鋤、犂、すき :anja(アンジャ) ;(ナタなどで)切る、たたき切る; 切り刻む; 切りつける :anji(-mbi)(アンジンビ)(上記の「アンジャ(鋤)」と同源であろう。) ;ナタ(鉈)、手斧 :anjikū(アンジク) ;客; 他人; 外国人(の使節など) :antaha(アンタハ) ;山の南側、山の日当たりの良い側 :antu(アントゥ) ;もみ殻 :ara(アラ) ;する、なす、つくる; 書く; よそおう、フリをする; 祝う; 指定する、任命する、定める; 養子縁組を認める、養子として組み入れる :ara(-mbi)(アランビ)(中世朝鮮語「h@-, h@j-a ホ/ハ、ホヤ/ハヤ」および現代朝鮮語「ha-, hay-ə/hæ ハ、ハヨ/ヘ」(する(為る))や日本語「-がる(フリをする、その様な素振りを見せる)」などを参照。) ;姿、形、影; 情況、事情、状態 :arbun(アルブン) ;クリーム; 牛乳に酒や砂糖を混ぜ込んで凝らせた物 :arcan(アルチャン) ;乳酒、(特に馬の)乳から作った酒 :arjan(アルジャン)(モンゴル語では同じ飲料を「airaγ アイラグ」というが、満州語の「アルジャン」と何らかの関係がありそうだ。) ;酸乳; バターミルク :ayara(アヤラ) ;大麦;(一般的に)穀物 :arfa(アルファ)(モンゴル語の/arbai アルバイ/「大麦」と明らかに同源である。また、中世朝鮮語/arh(-i) アルヒ/および現代朝鮮語/ar アル/「(鳥類や魚類の)卵、玉子; 球(たま)、粒、球根、丸っこい物(の大小や形の良し悪しなど); 実(が入る)、実(のる); (キャベツなどの)結球(の具合など)」を参考に入れて現代朝鮮語/armængi アルメンイ/「核、果物のさね; 実(の入った話、本など)、内容、意味、要旨」と比較すると面白い。) ;牙; (鋸などの)歯; 三日月の形状; 芽、萌え :argan(アルガン) ;鬼、悪霊; ろくでなし、根っからの徒者 :ari(アリ) ;蒸留酒、焼酎、強いお酒 :arki(アルキ)(モンゴル語「araki アラキ」(蒸留酒)、日本語「阿剌吉、アラキ」など参照。日本語の「アラキ」は江戸時代に日本と貿易していたオランダ人が「arak」と呼んでいたジャワ島産の一種の蒸留酒の名によるという。) ;急ぐさま、忙しいさま、焦るさま、慌てるさま :asaha fasaha(アサハファサハ) ;翼、羽根;帯に付け垂れ下げて着する物の総称;鎧の後ろ側の肩を覆う部分の下に付ける鉄の板 :asha(アスハ) ;とても、非常に :asi(アシ) ;小さい; 年少、若い :asiha(アシハ) ;若々しい :asihaki(アシハキ) ;若い; 若者 :asihan(アシハン) ;やや小さい :asikan(アシカン) ;(獲物を捕らえるための)網 :asu(アス) ;小さな音、微かな音、響き :asuki(アスキ) ;喧しい、賑やか :asukingga(アスキンガ) ;とても、非常に、あまり(何々ではなく) :asuru(アスル)(現代朝鮮語/acu アジュ/「とても、全く、非常に;全然(何々ではなく)」参照。「アージュ」と伸ばして言えば日本語の感嘆詞「まったく!」「ったく!」の様な意味。しかし、モンゴル語にもasuru(非常に)というのがあって、これは古代にトゥルク祖語から借用された単語と思われる。後世になってモンゴル語から満州語や朝鮮語に借用された可能性が高い。現代[[トルコ語]]「aşırı アシュィルィ」(過剰、過度; 非常に、過剰に; 超えて、行き過ぎて; ~おきに(「gün aşırı ギュンアシュィルィ」は「一日おきに」の意))や「aş(-mak) アシマク」(過ぎる、通り過ぎる、通過する; 超える、上回る、まさる; (牡馬が牝馬を)抱く、下に敷く、交尾する; 抜け出す、こっそり逃れ出る、フケる)など参照。) ;魚の雌 :atu(アトゥ)(満州語「meihetu メイへトゥ」(田鰻、タウナギ)は「蛇」を意味する満州語「meihe メイへ」にこの「atu アトゥ」がくっ付いて出来た合成語に由来するのだろう。後期中世朝鮮語「-thi -ティ」および現代朝鮮語「-chi -チ」(魚の種類の名前を形成する接尾辞)を参照。もしかしたら日本語の「いわし(鰯)」の「-し」も同源だろうか:現代朝鮮語「myəl-chi ミョルチ」(鰯)参照。琉球語には「アバシ」(フグ類の総称)なども有る。) ;魚の雄 :atuha(アトゥハ) ;魅了する、魅惑する、うっとりさせる :ayambu(-mbi)(アヤンブンビ) ;所、場所、当所、地方 :ba (バ) ;広がる、拡大される、大きくなる、栄える :badara(-mbi)(バダランビ) ;得る、手に入れる; 出来る、可能である :baha(-mbi)(バハンビ) ;得させる、手に入れさせる; 得られる、手に入る; 夢見る; 酔う :bahabu(-mbi)(バハブンビ) ;求める、探す、願う、望む、請う、頼む :bai(-mbi)(バインビ) ;慈しみ、優しさ :baili(バイリ) ;事、事情、用事、事件、出来事 :baita(バイタ) ;中に持つ、含む、包む、包含する、包容する、容れる; 持ちこたえる、耐える、こらえる :bakta(-mbi)(バクタンビ)(後期中世朝鮮語/mast-a/(マッタ)および現代朝鮮語/math-a/(マタ)「預かる;受け持つ、担任する;(許可などを)得る;(匂いや陰謀などを)嗅ぎ当てる」や日本語「持つ」を参照。) ;牛の胞衣(えな) :bakta(バクタ)(中世朝鮮語/marha/または/manha/(マルハ、マンハ)および現代朝鮮語/ma:nhwa/(マーンホヮ)「牛の脾臓や膵臓」と何らかの関係があるのだろうか。また、牛などの内臓を言う日本語の「もつ」は従来、「臓物」の上略とされてきた様だが、本当はこの語群と関連するのだろうか。) ;内臓 :baktakū(バクタク) ;生まれる; 生きる; 生る、成る、生ずる、出来る :banji(-mbi)(バンジンビ) ;地の神 :banaji(バナジ)(満州語「ba」(所、場所、当所、地方)や「na」(地、土地)を参照) ;感謝、感恩; ありがとう!、おおきに!、どうも! :baniha(バニハ) ;混ぜる、混ぜ合わせる;ご飯に汁物を注ぎかける :bara(-mbi)(バランビ) ;餌食となる様な獣の雌 :barin(バリン) ;満一年、満一ヶ月 :barun(バルン) ;給料、俸給、報酬;(神にたむける)お礼の供物、感謝の気持ちを表す幣(ぬさ) :basa(バサ) ;嘲る、笑いものにする :basu(-mbi)(バスンビ) ;敵 :bata(バタ) ;~を :-be(~ベ) ;鳥の餌 :be(ベ) ;かじかむ :bebere(-mbi)(ベベレンビ)またはbebeliye(-mbi)(ベベリイェンビ) ;戻る、帰る; (会席などから)自分の所に戻る、引っ込む; (身分の高い人が)亡くなる、死ぬ; (馬が)ためらう、ゆっくり進む :bedere(-mbi)(ベデレンビ) ;斑、ぶち、獣や鳥類に見える斑点や縞模様 :bederi(ベデリ) ;虎(の別名) :bedu(ベドゥ)(「斑」の字の太古の昔に於ける元来の意味が「虎」であることも参考にすると面白い。) ;恥骨、陰部の骨 :begu(ベグ)、beku(ベク)(「ベク」と清音で言う時は特に女性のそれを指したらしい。) ;墨、墨の棒 :behe(ベヘ)(古典モンゴル語/beke/(ベケ)> 現代ハルハ方言/bex/(ベフ)、及び現代朝鮮語/mək/(モク)「墨」参照。「墨」の字の朝鮮語漢字音は/muk/(ムク)であり、日常語彙である「モク」と母音が異なっている。) ;食用になる海藻 :beihe(ベイヘ)(現代朝鮮語/miyək/または/myə:k/(ミヨク、ミョーク)「ワカメ、またはワカメ属の総称」や日本古語の「め」(ワカメの様な海藻の総称、しばしば「布」の字を借りて書かれた)参照。) ;寒い、寒さ、寒冷 :beikuwenまたはbeiguwen(ベイクウェン、ベイグウェン) ;寒くある、寒くなる、冷えこむ、凍みる、霜が下りる :beikuwere(-mbi)またはbeiguwere(-mbi)(ベイクウェレンビ、ベイグウェレンビ) ;気の狂った(事や人)、狂人 :belci(ベルチ) ;脱穀した米、食用の穀類 :bele(ベレ) ;米粒; 果実の核 :belge(ベルゲ) ;(鞍に物を)結び付ける、結い付ける :belge(-mbi)(ベルゲンビ) ;バカ、アホ、ボンヤリ、マヌケ :beli(ベリ) ;弓 :beri(ベリ)(前期中世朝鮮語「活」、後期中世朝鮮語「hwar」、現代朝鮮語「hwar ホヮル」(弓)とは何らかの遠い関係があるのだろうか。) ;我(第一人称単数代名詞の主格・対格形) :bi(ビ)(属格形「我が」は「mini ミニ」という。) ;ある、いる :bi(-mbi)(ビンビ) ;書、本、文、書かれた物の総称 :bithe(ビトへ)(モンゴル語「bicig ビチグ」(書、本、文、書かれた物の総称)と借用関係にあるのだろう。祖形は*/bitige ビティゲ/か。) ;月 :biya(ビヤ)(他の[[ツングース諸語]]との比較により古形が*/biaha/または*/biyaha/(ビアハ、ビヤハ)であっただろうと推測されます。中期朝鮮語/p@rk-a ポルガ、パルガ/)及び現代朝鮮語/park-a パルガ/「明るい(の意味の形容自動詞の連用形)」と関係があるのだろうか、それとも非常に古い時代の[[漢語]]の「白」(*/brak/ ~ */bark/)からの借用ということも有り得るだろうか。日本語の「ほがら(か)」(朗らか)または「朝ぼらけ」に辛うじて残存する*/porake/も同系だろうか。) ;雹、霰 :bono(ボノ)(「雹が降る」、「霰が降る」という時はそのまま動詞として活用させて「bono(-mbi) ボノンビ」と言う。) ;家、家屋; 部屋、間、室; 家族; (清朝政府の)局、部 :boo(ボオ)([[女真]]語では「*bogo ボゴ」と言った様である。中世朝鮮語/poh(-i) ポヒ/ > 現代朝鮮語/po ポ/「梁」やモンゴル語「bagana バガナ」(モンゴル人の住む組み立て式の家を支える主柱)と関係があるのだろうか。モンゴル語の「バガナ」はそのままの意で満州語に借用されて「bahana バハナ」となっている。また、漢語の「屋」も遠い借用関係にあるのだろうか。) ;北側の山腹、(山の)日当たりの悪い側; 布、布地 :boso(ボソ) ;~せる、~させる、使役の助動詞; ~れる、~られる、受身の助動詞 :-bu(-mbi)(-ブンビ) ;小鳥 :cecike(チェチケ) ;燕 :cibin(チビン) ;山燕、燕の一種 :alin-cibirgan(アリン チビルガン) ;顔、面; 表情; 顔色 :cira(チラ) ;色づいた、色の有る :cirangga(チランガ) ;鶏 :coko(チョコ)([[女真]]語では*/tiko/ ティコに近い音で発音していた様です。中期朝鮮語/t@rk トルク、タルク/および現代朝鮮語/tak, tark(-i) タク、タルギ/「鶏」参照。日本語の「とり(鳥、鶏)」も同系か。「鳥」字の朝鮮漢字音の/tyo テョ/ > /co チョ/)や日本漢字音の「てう」>「ちょう」も関連するのだろうか。「鳥」の中国語での一般的な読み方は/niao3 ニャーオ/、広東語では/niu5 ニウ/です。) ;長たる者、統率者、指導者、リーダー :da(ダ) ;塩 :dabsun(ダブスン)([[モンゴル語]]/dabusun/からの借用語とも言われている。第一音節の「ダブ」は何だかヴェトナム語の「鹽(塩)」字の音読みに似ている。) ;鮭 :dafaha(ダファハ)(北京官話に借用されて「大麻哈魚(dàmáhà-yú)」(鮭類の一群、即ちOncorhynchusの総称)として現れるのだが、満州語の語中の/f/が中国語では何故/m/となるのか説明し難い。日本語「たひ」(鯛)および現代朝鮮語「to:m, to:mi トーム、トーミ」(鯛)や琉球語首里方言「タマン」(鯛)と何らかの関係があるのだろうか。元々は「美味しい魚」、「魚の王様」という様な広い意味合いがあったのだろうか。漢語の「鯛 (官話)diāo ディアオ、(広東)diu1 ディウ」(マダイの意)も遠い関係があるのだろうか。) ;随う :daha(-mbi)(ダハンビ)(朝鮮文語「tah-a タハ」(現代朝鮮口語では「ター」と発音、「着く、届く」の意)と関係があるのだろうか。漢語の「到 (北京官話)dào ダオ、(広東語)dou3 ドウ」とも何だか似ている。) ;~に随って、~によって :dahame(ダハメ) ;高い; (音の)大きい、うるさい、喧しい :den(デン)([[女真]]語では「*tege テゲ」と言った模様:「*tege-mafa テゲマファ」(「高祖」の女真語訓読)参照。また、現代朝鮮語「tə ト」(もっと)および「ta: ター」(全て、みな; ほとんど; 果たして、多く見積もっても、出来るだけ、有らん限り)も参考になるかも知れない。) ;小高い、やや高い、けっこう高い、かなり高い; 畝、中国で用いられた土地面積の単位; 小高い所、隆起、高所、地勢の上がり気味な所 :deke, deken(デケ、デケン) ;浮く、上がる、浮上する :dekde(-mbi)(デクデンビ)(下記の満州語「dekji(-mbi)」(「熾る」など)がモンゴル語からの借用語だとすると、この「dekde(-mbi)」(浮く)が本来の満州語であろう。) ;熾る、燃え立つ; 発展する、進歩する、向上する; 興る、繁栄する :dekji(-mbi)(デクジンビ)(恐らく古典モンゴル語「degzi(-xu) デグジフ」((太陽が)出る、昇る、たける; 向上する、進歩する、以前より良くなる; 発展する; 興る、栄える、繁栄する; (火などが)熾る、燃え上がる)からの借用語であろう。) ;上、上に、上に在る; 皇帝 :dele(デレ) ;上; 東; 皇帝(に関する) :dergi(デルギ)(古典[[モンゴル語]]「degereki デゲレキ」および現代[[ハルハ]]方言「deerx デールヒ」(上に在る; 上方の、目上の、上等の、最上の、最高の; 上記の、上述した)と関係がありそう。) ;上方、上へ :desi(デシ) ;飛ぶ :deye(-mbi)(デイェンビ)(古典モンゴル語「degyli(-xu) デギュリフ」(跳び越える)や「degylile(-xu) デギュリレフ」(跳び上がる、飛び上がる)と関係があるのだろうか。) ;入る :dosi(-mbi)(ドシンビ)(現代朝鮮語「tŭr(-ta) トゥィルダ」(入る)参照。) ;先っぽ、端; 末、結末、終末、最後 :dube(ドゥベ)(後期中世朝鮮語「tuyh(-i) トゥイヒ」および現代朝鮮語「twi: トゥウィー」(後ろ、後背; 北、北側、北方; 後、以後; 将来; (人の)あと(を追う); 相続、受け継ぐ人または事; 支持、後援; 糞、大便)や日本語方言「つべ」、「どべ」(尻; 最後、最下位; 糞、大便)など参照。) ;戸、門、出入り口、玄関 :dukaまたはduha(ドゥカ、ドゥハ)(日本語「と(戸)」参照) ;聾、耳の聞こえない事またはその様な人 :dutu(ドゥトゥ) ;風 :edun(エドゥン) ;(月などの)光 :elden(エルデン)(トルコ語「yıldız イゥルドゥィズ」(星)、「yıldız-böceği イゥルドゥィズビョジェイ」(「星虫」、すなわち「蛍」の意)、「yıldırım イゥルドゥィルィム」(いなづま、電光)などと関係があるのか。) ;母親 :eme(エメ)(「父親」を意味する/ama アマ/の項を参照。) ;家禽の雌 :emile(エミレ) ;一、一つ、第一 :emu(エム) ;神 :enduri(エンドゥリ)(水竜を言う満州語「ムドゥリ」と共に「-ドゥリ」という要素を有している様に見える。地の神を言う満州語「バナジ」の「ジ」も同源か。) ;これ、ここ、この(近称の指示代名詞) :ere(エレ) ;これで、これによって、これから、於是 :ereni(エレニ) ;勝つ;(弓などが)一方の端がより固い :ete(-mbi)(エテンビ) ;強い、強力な、よく耐える :etenggi(エテンギ) ;着る :etu(-mbi)(エトゥンビ) ;衣服、着物 :etuku(エトゥク) ;窓 :fa(ファ)(日本語の「まど」の「ま」と同系か) ;柳 :fodoho(フォドホ)(現代朝鮮語「pətŭr ポドゥル」(柳)参照。) ;彫る、彫り刻む; 印刷する :folo(-mbi)(フォロンビ) ;壁; (国境地方の)城塞 :fu(フ) ;(~の)ために :funde(フンデ)(この語の「-デ」は満州語の格助詞「-de -デ」(~に、~で)に由来するのか。「fun-」の部分は漢語の「分」に由来するのだろうか。) ;手、腕 :gala(ガラ) ;蚊 :garma(ガルマ)(後期中世朝鮮語「ka'yami カヤミ」、「kay'yami カイヤミ」および現代朝鮮語「kæ:mi ケーミ」(「蟻」の意)に関連するのか。トルコ語では蟻のことを「karınca カルィンジャ」と言う。語形・語意が共に一番似ているのはもちろん琉球語の「がじゃみ(蚊)」ですけれど。) ;行く :gene(-mbi)(ゲネンビ) ;槍 :gida(ギダ) ;話、説話、噂、言葉、言語 :gisun(ギスン)(どこかで読んだのだが「gusin グシン」という異形も何時かどこかに存在した様である。「ba i gisun バイギスン」(場所の言葉)は「ところ言葉、お国言葉、方言」のこと。) ;長い :golmin(ゴルミン) ;靴 :gūlha(グルハ)([[女真]]語では「*gulaha グラハ」と言った様です。) ;~た、~ぬ(る)、~き、~し(過去または完了を示す活用語尾で、連体修飾にも句や文の終結・終止にも使われる) :-ha, -he, -ho(-ハ、-ヘ、-ホ)(三つの語形のうち、どれが使われるかは接続する活用語の(特に語幹の最後の)母音によって決まる。また、活用語には不規則的活用をする語が幾つか有り、これらの多くは過去・完了の活用語尾が「-ka, -ke, -ko」(-カ、-ケ、-コ)となるのが特徴である。) ;種、類 :hacin(ハチン)(現代朝鮮語「kaci カヂ」(種、類)参照) ;鋏、剪刀 :hasaha(ハサハ)(中古の昔、[[女真]]語では「*haziha ハジハ」と言ったらしい。前期中世朝鮮語「割子蓋」および後期中世朝鮮語「k@zγay コズアイ」、「k@zay コザイ」、「k@γay コアイ」、現代朝鮮語「kawi カウィ」、現代朝鮮語方言「kasæ カセ」(以上の朝鮮語全て「鋏」の意;現代語ではじゃんけんの「ちょき」も同じく「カウィ」)参照。) ;ムカデ、百足虫 :hasaha umiyaha(ハサハ ウミヤハ) ;柿; 茄子 :hasi(ハシ)(「茄子」の語意は漢語「茄子」(Mandarin /qie2 zi/)の影響によるか。現代朝鮮語「kaci カヂ」(茄子)も参照。「柿」は朝鮮語では「ka:m カーム」と言う。) ;干し柿 :hasi-šatan (ハシシャタン)(「柿菓子」の意。「šatan シャタン」は漢語の「砂糖」に由来する。) ;谷; 溝; 偽りの、本当でない; 野牛 :holo(ホロ)(現代朝鮮語「ko:r コール」(洞、空洞; 谷、狭い渓谷; 気圧の谷)参照) ;紙 :hoošan(ホオシャン)(モンゴル語「caγasu(n) チャガス(ン)」(紙)、モンゴル語「caγan チャガン」(白い; 明るい; (卵や眼などの)白身; スズキ科の淡水魚の一種)、中世朝鮮語「cyoh@y ツョホイ、ツョハイ」、「cyohoy ツョホイ」および現代朝鮮語「congi チョンイ」(紙)参照。) ;隅、隈 :hošo(ホショ)(「amba hošo アンバ ホショ」(大隈)は「目頭」のこと。「angga i hošo アンガ イ ホショ」は口の端のこと。満州語の「ホショ」はどうもトルコ語の「köşe コェシェ」(隅、隈)や現代朝鮮語「kusək クソク」(隅; 片隅、辺鄙な所;(物事の良い・悪い)方面、ところ、点)などに似ており、特にトルコ語の「köşe」とは借用関係にあるのではないだろうか。) ;~の :-i(~イ)、但し場合によっては-ni(~ニ)として現れる。また、使い方のもっと限られた助詞の中に-ngga(~ンガ)(母音調和により-ngge或いは-nggoともなる)というのがあり、これは-iと同じ様に機能するが、既にほぼ化石化していたようである。 ;牛 :ihan(イハン) ;花 :ilha(イルハ) ;立つ、立ち上がる; 立ち止まる、たたずむ :ili(-mbi)(イリンビ) ;犬 :indahun(インダフン)(~フンは[[指小辞|指小]]の接尾辞、日本語の「~っこ」に相当) ;(時間の区切りとしての)日 :inenggi(イネンギ) ;船 :jahūdai(ジャフダイ) ;八 :jakūn(ジャクン)(他の[[ツングース諸語]]の語形と比べることによって、古代には*/p/の様な両唇音がこの単語の語中の/k/に隣接していた事が明証されています。すなわち古形は*japkunジャプクンまたは*jakpunジャクプンのはずです。但し満州語には基本的に*/p/音が無いのですから*/p/の音素が早くから失われてしまった、それとも古形が寧ろ*/jabkun/ ~ */jakbun/の様なものだったはずですね。) ;矢(の一種) :jan(ジャン) ;種、類、タイプ :jergi(ジェルギ)(しばしば接尾辞の様に使って「~の類」、「~など」、「~やその他」の様な意味を表す) ;橘、柑、柑橘類 :jofohori(ジョフォホリ)(語頭の「ジョ」は「橘」の字音からか) ;氷 :juhe(ジュへ) ;子(特に息子を指す場合が多い); 子孫 :jui(ジュイ)(複数形は「juse ジュセ」(子ら; 子孫たち)である。) ;饐える、(腐りかけて)酸っぱくなる :juše(-mbi)(ジュシェンビ) ;饐えた; 酸い、酸っぱい :jušuhun(ジュシュフン) ;十 :juwan(ジュワン)(日本語「とを」、現代朝鮮語「tampur タンブル」(牛馬の十歳)など参照。) ;二 :juwe(ジュウェ)(前期中世朝鮮語「途孛」、後期中世朝鮮語「turh(-i) トゥルヒ」、および現代朝鮮語「tu:r トゥール」(二つ)、「tu: トゥー」(ふた-、二)、「tusŭp トゥスィプ」(牛馬の二歳)など参照。なお、アイヌ語にも「tu-p トゥプ」(二つ)があり、日本語にも「とも(共、友、供、伴など)」があり、漢語には「対」(北京官話では「duì ドゥイ、ドゥェイ、ドヮイ」)があり、印欧諸語にも似た単語があって果たして語源がどこにあるのか見出せない。) ;鯨 :kalimu(カリム)(語末の/-limu/は女真語「*liwaha」、満州語「nimaha」(魚)と同源か) ;馬の毛などをフェルトにして作った帽子; 兜に入れるフェルトの裏地 :kamtu(カムトゥ)(後期中世朝鮮語「kamtho カムト」(「小帽」に語釈を付けるために使われた)および現代朝鮮語「kamthu カムトゥ」(昔の身分の高い人や官人が被った、馬の毛で作った帽子; 高官の職、官位)を参照。恐らく満州語から朝鮮語に入った借用語であろう。) ;守る、保護する、面倒を見る :karma(-mbi)(カルマンビ) ;変える :kūbuli(-mbi)(クブリンビ) ;音楽、(一首の)曲 :kumun(クムン) ;萎れる、枯れる; 柔らかになる、しなやかになる; 萎える、なよなよになる、力が無くぶら下がったり垂れたりする :laya(-mbi)(ラヤンビ) ;ラッコ :lekerhi(レケルヒ)(中期朝鮮語「reng.ur レンウル」または「nengγuri ネングリ」(「獺」の字の朝鮮語訓読み)を参照。また、現代朝鮮語にはインスタントラーメンのブランド名にもなっている「nəkuri ノグリ」(「タヌキ」の意)という単語があって恐らく同源でしょう。中期朝鮮語には「nekur ネグル」という形でも確認されていますが、この場合は「獺」の意なのかそれとも現代語の様に「タヌキ」の意なのかハッキリしない。朝鮮語にはテンの類またはタヌキを指す漢風の名称「山獺(サンダル)」という単語もありますが、「獺」の字意の範囲の広さが窺えて面白い。) ;アザラシ :lekerhin(レケルヒン) ;剣 :loho(ロホ) ;ラバ :lorin(ロリン)またはlosa(ロサ)またはlose(ロセ)(中世朝鮮語「rosay ロサイ(騾馬)」、現代朝鮮語「nosæ ノセ(騾馬)」と同源) ;韮(ニラ) :maca(マチャ)(古典モンゴル語/manggir マンギリ/「野生のネギ」、現代朝鮮語/manŭr マヌィル/「ニンニク」、および現代朝鮮語/pha パ/「ネギ」参照。) ;腫れる、爛れる、腫れ上がる; (利子が)つく、次第に殖える :mada(-mbi)(マダンビ) ;帽子 :mahala(マハラ)(モンゴル語「maγala マガラ」からの借用語らしい。漢語の「帽 mào」と何らかの関係があるのだろうか?) ;海 :mederi(メデリ)([[女真]]語では「メテリン」と言った模様)(cf. 中世朝鮮語「パロル(海)」、現代朝鮮語「パダ(海)」、古代日本語「わた(海)」。因みに満州語では海の神を「abka i banjibungga enduri アブカ イ バンジブンガ エンドゥリ」(天の産みが神)と呼んだ。) ;蛇; (十二支の)巳 :meihe(メイへ)(古典[[モンゴル語]]「moγai モガイ」> 現代[[ハルハ方言]]「moγoy モゴイ」(蛇)を参照。この場合の/γ/という音素は有声軟口蓋摩擦音であり、非常に印象の弱い音なので片仮名では寧ろ「モアイ」、「モオイ」の様に書いた方が良いかも知れません。また、後期中世朝鮮語「mok@y」(モゴイ、モガイの中間の様な音)、そして現代朝鮮語「mo:ki モーギ」(「蚊」の意)を参照。「蛇」や「蚊」を呼ぶ言葉はしばしば「咬むモノ」または「刺すモノ」に由来する様なので、「蛇」の意の単語と語源を共にする単語が別の言語や方言では「蚊」の意味を表していると仮定するのはさほど無理の要る考えではなかろう。日本語の「み(巳)」や「しらみ(虱)」の語末の「ミ」とは?) ;浅い;(考えの)狭い :micihiyanまたはmicika(ミチヒヤン、ミチカ)(日本語「みじか(短)」の語源か? また、中世朝鮮語/mutŭy-, mutuy-/(ムドゥイ)および現代朝鮮語/muti-/(ムディ)「(刃物などが)にぶい、尖っていない、鋭くない; (人の頭脳の働きが)にぶい、のろい; (言動が)ぶっきらぼう、簡略、無愛想」も参照。) ;這う、腹這う :micu(-mbi)(ミチュンビ) ;我が(第一人称単数代名詞の属格形) :mini(ミニ)(第一人称単数代名詞は属格以外では「bi ビ」と言う。また、満州語の属格を表す助詞「i, -ni イ、-ニ」(~の)参照。) ;味噌 :misun(ミスン)(前期中世朝鮮語「祕祖」、後期中世朝鮮語myecuミェヅ、現代朝鮮語meycuメジュ(蒸して潰した大豆に麹を加えて発酵させたもの)を参照。日本語「みそ」との類似は言うまでもなかろう。) ;木 :moo(モー) ;馬 :morin(モリン)(中世朝鮮語「m@r モル(馬)」、現代朝鮮語「mar マル(馬)」と同源か) ;葡萄、えびづる :mucu(ムチュ)([[女真]]語では「*mechu メチュ」。後期中世朝鮮語「merγuy メルウィ」および現代朝鮮語「məru モル」、現代朝鮮語の方言「mərku モルグ」(野生の葡萄、えびづる)参照。日本語の「ムベ」(別名:トキワアケビ)も同源か。) ;水竜 :muduri(ムドゥリ)(古代日本語「みつち」または「みづち」(水竜)と何らかの関係が?) ;水、川 :muke(ムケ) ;祭壇 :mukdehun(ムクデフン)(清朝の時の副国都、盛京(別名「奉天」)、すなわち現在の中国遼寧省の省都である瀋陽市(シェンヤン市)の満州語名「Mukden ムクデン」も同源であろう。また、中世朝鮮語「muti ムディ」または「mucek ムジェク」および現代朝鮮語「mutəki ムドギ」(塚、堆積、積み重ね、(積もっているものの)山)、「cokæ-muci チョゲムジ」(貝塚)、日本語「もる(盛る)」や古代日本語「うごもつ(盛り上がる)」などを参照。) ;(口に液体を)含む :mukū(-mbi)(ムクンビ) ;御陵、廟 :munggan(ムンガン)(康熙皇帝御陵は「ambalinggū munggan アンバリング ムンガン」(壮大なる御陵)と呼ぶ。) ;大根; 彫刻を施した球形の飾り物 :mursa(ムルサ)(因みに、満州族の栽培した大根は現代の朝鮮・韓国人のそれと同じく、白くて大きな球形だったらしい。中世朝鮮語「muzu ムズ」、現代朝鮮語「muu, mu: ムー」(大根)参照。) ;地、土地 :na(ナ) ;七 :nadan(ナダン) ;平和(な)、和やか(な)、穏やか(な) :nikton(ニクトン) ;魚 :nimaha(ニマハ)([[女真]]語では*「liwaha(リワハ)」と言った様です。日本語の「いを」、「うを」(魚)と何らかの関係が?因みに-haは[[ツングース諸語]]の名詞語尾としてしばしば表れます。例えば[[女真]]語「オシハ(星)」は古くは「オシ」という-ha無しの語形も有した様です。) ;雪 :nimanggi(ニマンギ)(現代朝鮮語「nu:n(ヌーン)」(雪)と関係があるのでしょうか? -nggiは「露」の意味の満州語silenggiの-nggiと同源の要素なのだろうか) ;虹 :nioron(ニオロン) ;(一般的に)矢 :niru(ニル) ;鴨 :niyehe(ニイェヘ)(古く[[女真]]語では*miyehe(ミイェヘ)であった模様。日本古語の「にほ」や現代日本中部・関東方言の「ミオ、ミヨ、ミョー」(以上皆「カイツブリ」の意)とミョーな具合に似ています) ;お酒、酒類 :nure(ヌレ)(現代朝鮮語「nuruk ヌルク」(麹)や「nuri(-ta), nori(-ta) ヌリダ、ノリダ」(脂や焼けた毛の様な臭いがする、くさい; しわい、ケチくさい)参照。) ;なる :o(-mbi)(オンビ)(「akū o(-mbi) アク オンビ」(無く なる)は「亡くなる、死ぬ」のこと。) ;飲む :omi(-mbi)(オミンビ) ;積む、積み上げる; (煉瓦などを積んで壁などを)築く :saha(-mbi)(サハンビ)(後期中世朝鮮語「sah(-a) サハ」、現代朝鮮語「ssah(-a) ッサー」(積む、積み上げる、山積みにする; 築く、(堤防などを)つくる、(塔などを)建てる; (経験や財産や徳などを)積む、ためる」など参照。) ;山積みに(置くなど)、どっさり :sahari(サハリ) ;黒い :sahaliyan(サハリヤン)(サハリアン・ウラは黒竜江/[[アムール川]]の満州語名。「[[樺太|サハリン]]」の語源でもある) ;良い、結構(な); 元気(な)、健康(な); 良く :saikan(サイカン)(モンゴル語「sain サイン」(良い、元気など)と同源であろう。) ;シャーマン(「巫女」や「いたこ・いちこ」などの様な神職者) :sama(サマ)またはsaman(サマン) ;ほくろ、(生まれ持った)あざ :samha(サムハ)(中世朝鮮語「samakoy サマゴイ」、「syamakoy シャマゴイ」および現代朝鮮語「sa:makwi サーマグィ」(ほくろ; いぼ)参照。) ;蝦、海老 :sampa(サンパ)(中世朝鮮語「savi サヴィ」および現代朝鮮語「sæwu セウ」(蝦)参照。日本語の「えび」も同系か。) ;妻、奥さん :sargan(サルガン) ;言う; 擬声語・擬態語などに後続して動詞をつくる(日本語の「バタバタする」などの「する」と同じ用法); 様々な文法的な働きをする助動詞 :se(-mbi)(センビ) ;~歳、過去の年 :se(セ)([[女真]]語では「セゲ」と言った模様。なお、現在も中国新疆省でシボ族(古代の鮮卑族の末裔と自称するが実体がよく分からない少数民族の一つ)によって話されている満州語の一方言「シボ語」ではこの単語の母音を今でも伸ばして「セー」と発音するのだそうです。) ;直立している、立っている、縦になっている :sehehun(セへフン) ;そびえ立っている; 絶壁の様な、切り立った、険しい :seheri(セヘリ) ;前に出て立つ、先立つ、先頭に行って立つ :sehule(-mbi)(セフレンビ) ;鉄、金属 :sele(セレ) ;血、血液; 血族; 親しい :senggi(センギ)(他の[[ツングース諸語]]との比較により-nggiはsilenggi(露)やnimanggi(雪)の語末の-nggiと同様、何らかの接尾辞に由来するものであるという事がわかる。また、いつの時代にかは明らかでないが、現代朝鮮語の「sənci ソンヂ」(家畜を屠殺した時に出る鮮血)は恐らく南ツングース系(すなわち満州語と近縁)の言語からの借用語だろう。朝鮮語では普通、土着の朝鮮語と思われる「phi ピ」(「血」の意)の前に置いて「sənci-phi ソンヂピ」と言う。その他にはモンゴル語「cisu(n) チス(ン)」(血)や日本語「ち」参照。) ;蝿の産み付ける卵; 蛆 :sere(セレ)(現代朝鮮語「swi シュゥィ」(蝿の卵)参照) ;おまえ、きみ(第二人称単数代名詞) :si(シ)(属格形「きみの、おまえの」は「sini シニ」と言う。モンゴル語「ci チ」(第二人称単数代名詞)と関係がありそう。また、相手を立てて丁寧に呼ぶ時は「age アゲ」(「皇子」の意)、属格形「agengge アゲンゲ」(「皇子ガ」)と言う。) ;汁 :sile(シレ) ;露 :silenggi(シレンギ)(現代朝鮮語「isŭr イスィル」(露)、「səri ソリ」(霜)および日本語「つゆ」を参照。トルコ語には「çiy チイ」(露)も「suy スイ」(水)も「çiş チシ」(おしっこ)も「sis スィス」(霧、霞、靄)も「siy(-mak) スィイマク」(おしっこする)もあって、結局この辺の語彙がどういう関係にあるのか釈然としない。) ;山猫、オオヤマネコ :silun(シルン)(現代朝鮮語「sŭrasoni スィラソニ」(オオヤマネコ; 痩せこけた人、ガリガリに痩せた人、弱虫)参照。日本語の「さる」(猿)や琉球宮古方言の「サル」、「サール」(カマキリ虫)も関連するのか。) ;滲みる、滲みこむ、染み渡る、にじむ; 濡れそぼつ、ずぶ濡れになる; 消化される; 溶ける、溶解する; 吸い込む; 着服する、横領する、(金を)使い込む、くすねる :singge(-mbi)(シンゲンビ) ;鼠; (十二支の)子 :singgeri(シンゲリ)(「ashangga singgeri アスハンガ シンゲリ」(「翼ガ鼠」)は「コウモリ」のこと。後期中世朝鮮語および現代朝鮮語「cuy チュイ」、トルコ語「sıçan スィチャン」)や日本語「ね」、「ねら」、「ねずみ」(皆「鼠」の意)を参照。) ;野菜、蔬菜、山菜 :sogi(ソギ)(朝鮮半島南岸の沖合いにある[[済州島]]の方言では野菜のことを「songkhi ソンキ」と呼ぶらしい。済州島のこの方言はむしろ中期朝鮮語の「phŭzengkuy プゼングィ」(「植物」の意)及び現代朝鮮語の「pusəngkwi プソングィ」(野菜、蔬菜、菜っ葉)と関連性があるかも知れないのですが。) ;尻 :sura(スラ)(後期中世朝鮮語「skori シコリ」、「chori チョリ」および現代朝鮮語「?kori ッコリ」(尻尾; 尾鰭)や日本語「しり(尻、後)」参照。なお、現代朝鮮語に於いて少数の合成語の中では今も「chori チョリ」の形が使われているものがある。例えば、「nun-chori ヌンチョリ」は現代朝鮮語で「めじり(目尻)」の意。) ;知恵、知性; 頭の良い、賢しい、かしこい :sure(スレ)(現代朝鮮語「sŭrki スィルギ」(知恵、かしこさ)参照。) ;日、太陽 :šun(シュン)(現代[[トルコ語]]gün ギュン「日;時、時代;太陽、陽光」、古代[[テュルク語]]kün キュン「日;太陽」と同源か。cf. 中世朝鮮語「ホイ(太陽;陽光;年)」、現代朝鮮語「ヘ(太陽;陽光;年)」、古代日本語「け(日)」) ;登る、上がる :tafa(-mbi)(タファンビ) ;学ぶ、習う :taci(-mbi)(タチンビ)([[モンゴル語]]「tani(-xu) タニフ」(知る)と同源らしい。) ;草原、平野、広く開けた野原、ステップ :tala(タラ)([[モンゴル語]]でも同じく/tala/と言い、恐らく借用関係にあるのだろう。後期中世朝鮮語「tŭrŭh(-i) トゥィルィヒ」および現代朝鮮語「tŭ:r トゥィール」(原野、野原;野ら、田地、田園、田面、田や畑;(接頭辞として)野生の、原野に生える)や日本語「た(田)」も関連するのか。「くだら(百済)」もひょっとしたらこの系統の要素を含んでいるのか。) ;壺 :tampin(タンピン) ;小さめの虎、小柄の虎 :targan(タルガン)(語源は恐らく「虎子」の意であろう。後期中世朝鮮語「s@rk ソルク サルク(山猫)」や日本語「とら」など参照。) ;マンチュリアン・タイガー、満州虎、シベリア虎 :tasha(タスハ) ;駕籠 :ten(テン)(現代朝鮮語「təng トン」(王家のお姫様が乗る駕籠)は恐らく満州語の「ten テン」を借用したものだろう。朝鮮語では「駕籠」を一般的に言う時、「ka:ma カーマ」という別の語を使う。) ;それ、そこ、その; あれ、あそこ、あの(中称または遠称の指示代名詞) :tere(テレ)(後期中世朝鮮語「tye ティェ」および現代朝鮮語「cə チョ」(遠称の指示代名詞の語根、現代日本語「あ」と同じ用法)、または日本語「そ(其)」などと関係があるのだろうか。しかし、世界各地にこれと似た様な指示代名詞がありふれていて(英語「there」参照)、本当に同系なのかどうか今のところは分からない。) ;回る、めぐる :torgi(-mbi)(トルギンビ)(現代朝鮮語「to:r(-ta) トールダ, tor(-a) トラ」(回る)参照) ;独楽、こまつぶり :torgikū(トルギク) ;雲; 精液、射精 :tugi(トゥギ) ;火 :tuwa(トゥワ)(cf.中世朝鮮語tep(-ko), tev(-e)テプコ、テヴェ「熱くて、暑くて」、現代朝鮮語təp(-ko), təw(-ə)トプコ、トウォ「熱くて、暑くて」。日本語の「ともす(点す)」や[[漢語]]の「点」(*dem デム > dien ディエン)とも似ている。補足:私の参考にしている資料では「火」を意味する満州語は「tuwe (トゥウェ、トゥウォの間の中間的な音)」となっていますが、どういう事でしょう。もしかしたら方言の差異が反映されているのでしょうか?) ;見る、看る :tuwa(-mbi)(トゥワンビ)(名詞句 + 目的格助詞 be (ベ、ボ) + tuwa-me (トゥワメ、トゥワモ)で「(何々)を見て(決めよう)」とか、「(何々)によっては(どうこうである、どうこうする)」とかいう風に形式化した用法も頻出だった様である。) ;角(つの) :uihe(ウイヘ)(一時/weihe/(ウェイへ)という方言形もあったらしい。ツングース系のオロチェン語/iige イーゲ/(角)に相当します。日本九州方言「イゲ」(棘;野バラ;魚の骨;籾のついた米)や近代近畿方言・現代中国地方方言「イギ」(棘;野バラ;魚の骨)と何らかの関係があるのでしょうか。) ;頭; 一番上、てっぺん; 主導者、長、かしら、首領) :uju(ウジュ) ;九 :ujun(ウジュン)(満州語がまだ盛んに行われていた頃には/uin/(ウイン)という方言形も存在した様です。[[ツングース諸語]]の語形と照り合わせてみると、この語の古形が日本語の「ここの」から程遠くないものだったろうことが窺えます。多分古形は*/xogyn/(ホギュン)に近い。朝鮮語の/ahop アホプ/(九つ)や中期朝鮮語/ah@ray アホライ、アハライ/及び現代朝鮮語/ahŭrey アフレ/(九日)も参照すべきであろう。朝鮮語の例は*/xax@rp/の様な古形の語幹に基づいたものか。) ;虫 :umiyaha(ウミヤハ) ;星 :usiha(ウシハ)([[女真]]語では「オシ」、または「オシハ」) ;石、岩 :wehe(ウェへ)(いわゆる[[高句麗]]地名用語「波兮」(岩)、または後期中世朝鮮語「pahoy パホイ」、現代朝鮮語「pawi パウィ」(岩; じゃんけんの「ぐう」)を参照。ひょっとして日本語の「がけ(崖)」や方言系の「ハケ(崖)」と関係が?) ;肉 :yali(ヤリ) ;目、眼 :yasa(ヤサ)(古くは*/nyasa ニャサ/の様に発音されていたらしい。/-sa/は複数形を作る接尾辞/-sa/ ~ /-se/ ~ /-si/に由来するのか。) {{DEFAULTSORT:まんしゆうこのこいしゆう}} [[category:ツングース諸語]]