黒磯駅

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黒磯駅(くろいそえき)は、栃木県那須塩原市本町にある東日本旅客鉄道(JR東日本)東北本線

上野駅から宇都宮線の愛称で呼ばれる路線区間、および、仙台駅方面からの東北本線普通列車の終着駅で、東北新幹線が停車する隣の那須塩原駅と共に、那須高原那須温泉郷公共交通機関で向かう際の玄関口となっている。

歴史[編集]

概要[編集]

東北本線の途中駅であるが、後述するように、当駅を境に南側は直流電化、北側は交流電化電化方式が異なっており、旅客列車の大部分を占める普通列車ではそれぞれの電源方式専用の電車が運用されることから、寝台特急と一部の臨時優等列車貨物を除き運転系統が分断されている。

当駅より南側の直流区間である上野駅 - 当駅間はJR発足後に「宇都宮線」の運行名が与えられており、本駅はその終端駅となり、正式路線名の「東北本線」で案内される当駅 - 盛岡駅間とはラインカラーでも区別されている。本駅以北は主に2両・4両編成の列車(一部6両・8両編成)が約毎時1往復、本駅以南は主に5両編成(一部は4両・10両編成)の列車が20-30分間隔で運転されている。

国鉄時代から関東東北との運用上の境界扱いの駅であり、例えば東京近郊区間は当駅までとなっている[3]Suicaを首都圏エリアで使えるのも当駅までである[4]JR支社境とは別に、輸送指令も上野駅から当駅までを東京支社が担当し、当駅以北を仙台支社が担当している。

駅構造[編集]

単式ホーム1面1線、島式ホーム2面4線、合計3面5線の地上駅である。駅舎側の1番線のみ単式ホームで、駅舎上部を東北新幹線が通過している。

社員配置駅。Suica対応自動改札機が設置されているが、Suicaの利用は当駅以南に限られており、当駅以北では利用できない[5]。駅舎内にはみどりの窓口[6]自動券売機指定席券売機NEWDAYS立ち食いそば店待合室自動券売機コインロッカー、観光案内所がある。

1982年の東北新幹線開業前には多くの特急・急行列車が停車したことから、かつてはホーム上にも待合室売店等が設けられていたが、これらは新幹線開業後も残存していた優等列車の大部分が廃止された1990年代初頭に全て撤去された。なお、2008年にホーム上の待合室が改めて設けられた。

かつては、皇族那須御用邸に向かう際の最寄り駅としてお召し列車が本駅に発着しており、一般の入口の脇に皇室専用の出入口や待合室が設けられているが、東北新幹線の開業、さらに1989年昭和天皇崩御後は基本的に那須塩原駅を利用するようになったため、ほとんど使われていない。そのため、以前1番線にはお召し列車到着の際に駅長の立ち位置を示す印が存在したが、ホーム嵩上げ等の改良工事により消滅した。そのほかにも国鉄時代は宇都宮鉄道公安室黒磯公安部として鉄道公安職員が常駐しており、お召し列車の運転時以外も駅構内警備や旅客列車への警乗を行っていた[7]

駅構内の跨線橋は、かつては階段のみ設置されていたが、2010年度から翌年にかけて跨線橋が更新[8]されるとともにエレベーターが設置された。

夜間滞泊は上野方面(E231系E233系)が4本、福島方面(719系)が1本設定されている。

のりば[編集]

以下は平常ダイヤにおける運用方法で、現地の案内もこれに従っている。

番線 路線 行先
1・2・3 宇都宮線(東北線) 宇都宮大宮上野新宿横浜方面
4・5 東北本線 郡山福島仙台方面
  • 宇都宮・上野方面の長編成の列車は駅舎寄りの1番線、当駅と宇都宮駅間を往復する短編成の列車は2・3番線、郡山・福島方面の列車は4番線を使用することが多い。
  • 現地の案内では宇都宮線の案内の一部に「新宿・横浜」の表記があるが、2004年3月13日のダイヤ改正以降、湘南新宿ラインの列車は当駅に乗り入れなくなった。
  • 夕方に1本上野行き通勤快速列車が発車する他は全て普通列車で、定期運行の優等列車は停車しない。
  • グリーン車利用者用の設備があるが、グリーン車を含んだ編成は上野・新宿方面から宇都宮駅または小金井駅までの運用が多く、利用できる列車は長区間走行する一部列車に限られる。
  • 臨時列車などの当駅を途中駅とする列車は、1番線(下り)・5番線(上り)を使用することになっている。
  • 当駅より北はSuica首都圏エリア外となるため、宇都宮線から以北に乗り継ぐ場合は精算と乗車券の用意が必要である。

駅弁[編集]

戦前は煙草屋旅館が駅弁の製造・販売を行っていた。

戦後は宇都宮駅 - 白河駅間に弁当販売駅がなかったこと、電化による機関車の付け替えで停車時間が長くなることから、高木弁当と殺生石伝説に由来する九尾の狐トレードマークとした九尾弁当本舗ことフタバ食品黒磯営業所が1956年[9]。以降に営業認可を受け参入している。1960年代以降急行列車が順次電車気動車に置き換わった後も、この駅で特急列車の通過待ちを行うことが多かったため、駅弁を買い求める利用者は多く、夜行列車が発着する時間帯も弁当の販売を行っていた[10]。高木は「特製幕の内弁当」、「あゆづくし」、「高原肉めし」、「なめこ汁」など、、九尾は「キジ焼き栗めし」、「九尾すし」、「九尾の釜めし」などが代表的であった[11]。また、1963年には両社共に宮内庁御用達となったことから、百貨店の駅弁大会でも人気があった。

長年にわたりこの2社が本駅の駅弁を製造・販売してきたが、東北新幹線の開業とそれに続く優等列車の廃止、コンビニエンスストアの普及によって駅弁の売り上げが減少したため、2001年に高木弁当が廃業2005年にフタバ食品黒磯営業所が撤退したため、販売は終了した。2008年に同社が受託運営する東北自動車道上河内サービスエリア下り線施設がリニューアルしたさいに和風レストラン「九尾」を出店し、名称を踏襲した格好となっている。

利用状況[編集]

  • 2013年度の1日平均乗車人員は2,419人である。
乗車人員推移
年度 一日平均乗車人員
2000 3,080
2001 2,938
2002 2,705
2003 2,616
2004 2,539
2005 2,501
2006 2,497
2007 2,513
2008 2,499
2009 2,399
2010 2,360
2011 2,364
2012 2,397
2013 2,419


駅周辺[編集]

公共交通
公共施設
  • 那須塩原市役所(旧・黒磯市役所)
  • 那須塩原警察署
  • 黒磯駅前交番
  • 黒磯那須消防組合消防本部
  • 黒磯郷土館
  • 黒磯公園
  • 黒磯郵便局
  • 黒磯中央町郵便局
  • 那須塩原市営黒磯駅前西口臨時駐車場
文教施設
大規模商業施設
その他はロードサイド型店舗が多く、駅東側の国道4号沿いにシネコンを含めたパワーセンター[12]、駅西側の旧国道4号線より西にホームセンター電器店等が離れた位置に分散して所在する。
道路ほか

路線バス[編集]

黒磯外回り線のみ東口にも停車する。他はすべて西口に発着する。

  • 市内路線
    • 那須塩原地域バス「ゆ〜バス」
      • (黒磯・西那須野線) 黒磯駅 - いきいきふれあいセンター前 - 菅間病院 - 黒磯図書館 - 市役所 - 黒磯文化会館 - 黒磯南高校 - 那須塩原駅 - 国際医療福祉大学病院 - 三島 - 西那須野庁舎 - 西那須野駅西口
      • (黒磯内回り) 黒磯駅 - いきいきふれあいセンター前 - 中央町 - 黒磯駅 - 黒磯健康保健センター前 - 黒磯図書館前 - 菅間病院 - 黒磯駅
      • (黒磯外回り) 黒磯駅 - 黒磯健康保健センター前 - 黒磯駅東口 - 那珂川河畔公園入口 - 豊浦町 - 市役所 - 黒磯健康保健センター前 - 黒磯駅
      • (鍋掛線) 黒磯駅 - 黒磯健康保健センター前 - 市役所 - エイトタウン前 - ビバモール - 松ヶ丘団地 - 鍋掛小学校入口 - 樋沢公民館 - 那須脳神経外科病院
      • (那須高原病院線) 黒磯駅 - 高原病院前 - 産業技術専門校前 - 黒磯駅
      • (那須南高校線) 黒磯駅 - 黒磯健康保健センター前 - 市役所 - 黒磯文化会館 - 黒磯南高校 - 豊浦町 - 黒磯図書館前 - いきいきふれあいセンター前 - 中央町 - 黒磯駅

交直接続の駅[編集]

列車選別装置#黒磯駅通過列車用 も参照 東北本線は当駅を境に南側は直流1,500V、北側は交流20,000V・50Hzで電化されていることから、当駅には日本では現存唯一の地上切り替え方式の交直接続設備がある。駅構内の架線は直流・交流の両方に切替られるように区分(セクション)されており、またその区分境にはデッドセクションとそれを表示する電車線区分標があり、また構内の信号機には直流または交流が加圧されていることを表示する架線電源識別標識が取り付けられている。

駅構内には、黒磯変電所からの交流・直流の電源を地上からの指令で駅構内の区分された架線(セクション)に切替えて流すことができる交直切換断路器が設置されている。ここでは直流・交流それぞれの専用車両が使用される普通列車は本駅で乗り換えとなる。また、駅構内に数か所のデッドセクションと交流区間で使用されている碍子形同相セクションがあり。そのため、E233系E231系などの直流電車は入線する番線によってはデッドセクションを通過するため、駅の到着直前、発車直後に室内灯が非常灯を残し消灯することがある。その際の速度制限は25km/hである。なお、3番線は他の番線と異なり直流だけが流れる電源区分となっており、直流区間からのみ列車が入線可能な配線である[13]

電化から1970年代までの機関車牽引列車が主体の時期は、旅客列車でも上野から福島仙台方面への客車による普通・急行列車が多く存在し、当駅に停車してEF58形EF65形等の直流専用電気機関車と、ED71形ED75形交流専用電気機関車との機関車交換を行っていた。交直両用車両も1980年代まで運転されていた455・457系による急行列車、EF81形を使用していた一部の貨物列車は当駅に停車しパンタグラフを降下、電源の切り替え後にパンタグラフを再上昇させ発車する形をとり、気動車使用列車も信号取り扱いが電源切り替えに連動する関係上停車していた[14]

近年では快速「フェアーウェイ」(郡山方面への延長運転時。2009年以降は運転無し)や臨時特急「あいづ」が当駅に停車し、電源を切り替える。

また、交直両用車両など[15]で自動列車選別装置を装備する車両は地上子との連携により、駅構内をあらかじめデッドセクション化させて信号を切り替えることが可能であり、これにより乗務員が車両の交直切り替え操作を行った上で、停車せずに車上切り替えを行うことが上下列車とも可能となった。この改良工事が行なわれたヨンサントオ1968年10月)以降、特急列車の多くが当駅を通過するようになり(「はつかり」・「やまびこ」等)、2010年現在では、EF510形牽引の「北斗星」と「カシオペア」は当駅を通過する。

なお、通過列車は下りは1番線、上りは5番線の線路を走行する[16]。かつて当駅以北に直通する特急列車が停車していた時代も機関車牽引列車以外は基本的に通過列車と同じく下り1番線、上り5番線に停車することとされ、臨時にそのほかの線へ入線する場合は455・457系など同じく停車後電源と信号を切り替える形で運転した[17]

日本貨物鉄道貨物列車は当駅で運転停車して機関車交換を行う列車がほとんどだが、交直両用のEH500形が牽引する列車の一部は運転停車して乗務員交代とともに電源の切り替えを行い、直通牽引する(列車選別装置を持ち当駅を交直切り替えしながら通過できる交直流電気機関車以外は、当駅で機関車交換するため10分から20分間程度運転停車するダイヤが組まれている[18])。

また当駅東側にはJR貨物関東支社の黒磯機関区(乗務員基地)が存在する。

隣の駅[編集]

東日本旅客鉄道
宇都宮線(東北本線直流電化区間)
通勤快速・快速「ラビット」・普通
那須塩原駅 - 黒磯駅
東北本線(交流電化区間)
黒磯駅 - 高久駅

脚注[編集]

  1. 「高鉄10年のあゆみ」p303。
  2. 東北地方太平洋沖地震関連・栃木県北部の様子(2014年5月4日閲覧)
  3. 東京近郊区間(2014年5月4日閲覧)
  4. Suica・PASMO利用マップ(2014年5月4日閲覧)
  5. 仙台エリアは2009年3月14日に矢吹駅まで拡大されたが、本駅が属する首都圏エリアとまたがっての利用はできない。その旨の注意書きを改札口などで見ることができる。なお、発売範囲は限られるが、券売機でSuica残高を使って乗車券を購入すれば当駅以北へ乗車することはできる。
  6. 営業時間は7時から18時。
  7. 「鉄道ファン」1978年5月号 p71
  8. 東北本線 黒磯駅乗換こ線橋新設PDF (2010年度(2010.4〜2011.3)の主な受注工事) - 東鉄工業(2011年7月4日付、同年11月26日閲覧)
  9. 「高鉄10年のあゆみ」p254。
  10. 「鉄道ファン」1978年5月号 p72-73
  11. 九尾の製品は、フタバ食品九尾弁当部という表記の時代もあった。キジ焼きはキジ肉ではなく那須高原地鶏を使用、九尾すしは後年、「九尾ずし」、「九尾の味」と2度改称、九尾の釜めしは横川駅の「峠の釜めし」と同様の益子焼の器であった。
  12. フォーラム那須塩原(2014年5月4日閲覧)
  13. 「鉄道ファン」1978年5月号折込付図を参照。
  14. 「鉄道ファン」1978年5月号 p63、p69-70
  15. 1975年以前はキハ80系キハ181系気動車が「つばさ」で当駅を通過しており、信号取り扱いの関係上自動列車選別装置を装備した。
  16. 「Rail Magazine」2005年5月号も参照。
  17. 「鉄道ファン」1978年5月号 p63、p70
  18. JR貨物時刻表

参考文献[編集]

  • 「高鉄10年のあゆみ」1961年10月、高崎鉄道管理局発行
  • 交友社鉄道ファン」No.205 1978年5月号 p60-73 黒磯の一日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]