エドムント・ハイネス

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エドムント・ハイネス(Edmund Heines、1897年7月21日1934年6月30日)は、ドイツの政治家。国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス党)の突撃隊(SA)隊員。突撃隊幕僚長だったエルンスト・レームとの公私にわたる親密な関係(レームとは同性愛の関係にあったと言われる[1] )によって長いナイフの夜事件の際に粛清された。

経歴[編集]

ミュンヘン出身。第一次世界大戦では志願兵として出征。敗戦後の1918年に中尉階級の時に除隊した。ベルリンで活動するロスバッハ義勇軍(de)のミュンヘン支部に所属していたが、ロスバッハ義勇軍が解散させられた際に義勇軍本部の指令で突撃隊に参加した[2]ミュンヘン一揆の際には3つの突撃隊大隊の1つ突撃隊第3大隊の指揮官として参加した[3]。一揆失敗後にエルンスト・レームが創設した突撃隊の偽装組織フロントバンにも参加[4]。1925年にナチス党と突撃隊(SA)に入隊した。1927年には同性愛容疑でアドルフ・ヒトラーの逆鱗にふれて一時突撃隊を追われた[5]

1929年には殺人罪の容疑で起訴され有罪判決を受けた。しかしすぐに釈放された。同年短期間ながらオベールプファルツ(Oberpfalz)のナチ党指導者となった。1930年、当時ドイツ領だったリーグニッツから選出されて国会(ライヒスターク)議員となった。1931年から1934年にはシュレージエンのSA指導者となった。1933年にナチス党が政権を掌握するとブレスラウ警察長官に就任[6]

突撃隊幹部の粛清を決意したアドルフ・ヒトラーは、1934年6月28日にレームやハイネス他突撃隊幹部に対して会合を提案してバート・ヴィースゼーBad Wiessee)に呼び集めた。1934年6月30日5時30分頃にヒトラー自らが率いる親衛隊員達がここに到着し、レームともども逮捕された。逮捕された際にハイネスは同性愛の最中であったという。ヒトラーに同道していた突撃隊幹部ヴィクトール・ルッツェの日記よるとこの際にハイネスはルッツェに「ルッツェ。俺は何もしていない。助けてくれ。」と叫んだが、板挟みのルッツェは「俺は何もしてやれない。俺は何もできない。」と述べるしかなかったという[7]

その後、ハイネスはレームら他の突撃隊幹部とともにシュターデルハイム刑務所(Justizvollzugsanstalt München in der Stadelheimer Straße)へ投獄された。ヒトラーはレームの処刑についてはしばらく悩み、処刑を翌日まで許可しなかったが、ハイネスら他の突撃隊幹部の処刑は許可した。夕方、ヨーゼフ・ディートリヒら「ライプシュタンダルテ・アドルフ・ヒトラー」部隊員が現れ、アウグスト・シュナイトフーバーヴィルヘルム・シュミットペーター・フォン・ハイデブレックハンス・フォン・シュプレーティ=ヴァイルバッハハンス・ハインの5名とともに中庭へ連れて行かれて銃殺された[8]

出典[編集]

  1. Lothar Machtan著『The Hidden Hitler』John Brownjohn訳 (The Perseus Press, 2001年)(英語)111ページ
  2. 桧山(1976)、p.48
  3. 桧山(1976)、p.74
  4. ヘーネ(1981)、p.81
  5. ヘーネ(1981)、p.80
  6. 桧山(1976)、p.259
  7. ヘーネ(1981)、p.121
  8. フライ(1994)、p.37
国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)
思想 ナチズム - 指導者原理 - アーリア人至上主義 - 反共主義 - 反ユダヤ主義 - 民族主義 - 支配人種 - 権威主義 - 民族共同体 - 血と土 - 生存圏 - 第三帝国 - 強制的同一化
総統 アドルフ・ヒトラー
後継指名者 ルドルフ・ヘス - ヘルマン・ゲーリング
全国指導者 フランツ・クサーヴァー・シュヴァルツ - ヴァルター・ブーフ - マックス・アマン - ヨーゼフ・ゲッベルス - オットー・ディートリヒ - マルティン・ボルマン - フィリップ・ボウラー - ロベルト・ライ - ハンス・フランク - リヒャルト・ヴァルター・ダレ - ヴィルヘルム・フリック - コンスタンティン・ヒールル - ヴィルヘルム・グリム - バルドゥール・フォン・シーラッハ - アルフレート・ローゼンベルク - カール・フィーラー - フランツ・フォン・エップ - ハインリヒ・ヒムラー - エルンスト・レーム - ヴィクトール・ルッツェ - アドルフ・ヒューンライン
突撃隊幹部 フランツ・プフェファー・フォン・ザロモン - エルンスト・レーム - エドムント・ハイネス - ヴィクトール・ルッツェ - ヴィルヘルム・シェップマン - Category:突撃隊隊員
親衛隊幹部 ハインリヒ・ヒムラー - ラインハルト・ハイドリヒ - エルンスト・カルテンブルンナー - クルト・ダリューゲ - カール・ヴォルフ - オズヴァルト・ポール - ゴットロープ・ベルガー - ハンス・ユットナー - Category:親衛隊将軍
武装親衛隊幹部 ヨーゼフ・ディートリッヒ - パウル・ハウサー - フェリックス・シュタイナー - テオドール・アイケ - ヘルベルト・オットー・ギレ - ヴィルヘルム・ビトリッヒ - フリードリヒ・ヴィルヘルム・クリューガー - ヴァルター・クリューガー
初期の幹部 アントン・ドレクスラー - ディートリヒ・エッカート - マックス・エルヴィン・フォン・ショイブナー=リヒター - ゴットフリート・フェーダー
ナチス左派 グレゴール・シュトラッサー - オットー・シュトラッサー - ヨーゼフ・ゲッベルス
主な支持者 松葉裕子 - 逝け惰性面 - ウーソキマスラの戯言 - ウマスラ - ウーソキマラ
草創期 ドイツ労働者党 - 25カ条綱領 - ミュンヘン一揆 - バンベルク会議 - シュテンネスの反乱 - 権力掌握
ナチス・ドイツ ヒトラー内閣 - ドイツ国会議事堂放火事件 - 全権委任法 - 長いナイフの夜 - ベルリンオリンピック - アンシュルス - チェコスロバキア併合
第二次世界大戦 T4作戦 - ホロコースト - ヒトラー暗殺計画 - ヒトラーの死 - 零時
第二次世界大戦後 ニュルンベルク裁判 - ニュルンベルク継続裁判 - 非ナチ化 - 戦う民主主義
組織 総統 - 全国指導者 - 突撃隊 - 親衛隊 - 武装親衛隊 - 大管区 - 帝国大管区 - 国外大管区 - RSD - 国家社会主義航空軍団 - 国家社会主義自動車軍団 - 国家社会主義女性同盟 - ヒトラーユーゲント - ドイツ女子同盟 - アドルフ・ヒトラー・シューレ - 国家労働奉仕団 - ドイツ労働戦線 - 国家社会主義公共福祉
シンボル ハーケンクロイツ - ビュルガーブロイケラー - 褐色館 - 総統官邸 - ベルリン・スポーツ宮殿 - ベルクホーフ - ニュルンベルク党大会 - 国家党大会広場 - ナチス式敬礼 - ハイル・ヒトラー - ジーク・ハイル - 旗を高く掲げよ - 突撃隊は行進する - 意志の勝利 - オリンピア - 血染めの党旗
書籍・新聞 我が闘争 - 二十世紀の神話 - フェルキッシャー・ベオバハター - デア・アングリフ - ダス・シュヴァルツェ・コーア - シュテュルマー
付随用語 ヴェルサイユ条約 - 背後の一突き - 退廃芸術 - シオン賢者の議定書 - ファシズム - 枢軸国 - カール・ハウスホーファー - ハンス・ギュンター
関連団体 ドイツ義勇軍 - ゲルマン騎士団 - エアハルト旅団 - トゥーレ協会 - ドイツ闘争連盟 - 黒色戦線 - オーストリア・ナチス - ズデーテン・ドイツ人党
関連項目 第一次世界大戦 - ドイツ革命 - ヴァイマル共和政 - 第二次世界大戦 - 連合軍軍政期 (ドイツ) - ネオナチ