セウォル号沈没事件

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セウォル号沈没事件
セウォル号沈没事件

セウォル号沈没事件とは、2014年4月に韓国で発生した、300人近い死亡者を出した海難事件である。乗客は修学旅行の高校生たちであった。

船長が船を乗り捨て、300人近い学生が水葬され、船を管理していた会社の前会長が、変なインチキ宗教の教祖であり、政界・官界への不正なつながりも疑われる人物だった。その会長は現在行方をくらまして懸賞金がかけられている。

目次

事件概要

セウォル号沈没事件

2014年4月16日午前8時58分頃、韓国仁川の仁川港から済州島へ向かっていた、清海鎮海運所属の大型旅客船「セウォル(歳月: SEWOL)」が、全羅南道珍島郡観梅島(クヮンメド)沖海上で転覆し、沈没した。事故が発生したセウォル号は、修学旅行中の安山市檀園高等学校2年生生徒325人と引率教員14人の他、一般客108人、乗務員29人の計476名が乗船し、車両150台余りが積載されていた。

韓国国立海洋調査院によると、現場周辺は水深27m-50mで目立った暗礁はなく、16日午前時点で視界は良好、波高約1mと、航行の安全に影響するような自然条件はなかった。

同国での海難事故としては、1993年10月に全羅北道扶安郡格浦里の沖合で292人の死者を出した『西海フェリー沈没事故』以来、21年ぶりの大惨事となる。

経緯

セウォル号沈没事件
  • 15日午後9時頃 - 仁川港から済州島向け定刻午後6時半から濃霧による視程低下のため約2時間遅れで出港。
  • 16日朝 - 乗っていた男子生徒によると「『ドン』という音が聞こえ、船が傾いた」。エンジン室にいた船員「船の前部が衝撃を受けた」。別の乗客「船が90度近くに傾くと、船体の側面から一気に水が入ってきた」。
  • 16日8時58分頃 - セウォルが遭難信号を発信、海洋警察が受信
  • 16日10時10分頃 - 「沈没が迫っている。乗客は海に飛び降りろ」と船内放送
  • 16日11時過ぎ - 京畿道教育庁が船に乗っていた高校生の保護者たちに「壇園高校の生徒を全員救助」というメールを一斉に送付するも、同日午後になり救助された人数に誤りがあったことが判明、直後に安全行政部と海上警察が行方不明者の数を修正して発表。
  • 16日11時24分頃 - 海軍の海難救助部隊 (Ship Salvage Unit: SSU) 及びUDT/SEAL陸軍特戦司令部の潜水要員が調査と救助作業に投入される。
  • 16日午後 - 海軍駆逐艦デ・ジョヨン」の乗組員が貨物昇降の作業中に頭部を負傷し意識不明の状態で済州島の病院に運ばれるが、19日に死亡した。
  • 17日午後 - 民間のダイバー3人が行方不明者を捜索中、波と風に流され行方不明になるが、20分後に釣り船に発見され、救助された。
  • 17日20時40分頃 - 悪天候により中断していた水中捜索を再開。同時に、海洋警察が船内進入のために無人ロボットを投入。
  • 18日1時頃 - 船体を引き揚げるためにクレーン船3台を投入する事を決定するも、船体が揺れてエアポケットに海水が浸入する可能性があるため難航。
  • 18日午後 - 海面より姿を見せていた船首先端部分が自重により完全に水没。
  • 19日 - 16日の救助活動中に頭を負傷し、意識不明となっていた韓国海軍兵士1人が死亡。

原因

未熟な操船、過積載、舵に異常?複合要因の可能性

韓国朴槿恵大統領は21日の首席秘書官会議で、セウォル号の沈没について、船長らが乗客を救助せずに退避したことは「殺人と同様の行為だ」と厳しく非難した。また捜査当局に対し「(船体の)輸入から改造、安全点検、運航許可に至るまでの過程を徹底的に点検し、責任の所在を明らかにしてほしい」と指示した。

沈没原因について捜査当局はまず第1に、高速航行中の急な針路変更にあるとの見方を強めている。セウォル号は沈没直前に、右に90度急旋回しているが、韓国メディアによると、「ほぼ全速の19ノット(時速約35キロ)だった」という。

そして第2に、現場は韓国でも有数の潮流の速い海域で、その難所を経験1年余りという3等航海士が操船していた。「未熟な操船技術」が急旋回に至った可能性が高い。

一方、捜査当局は船のバランスについても注目している。船会社は船を日本から購入後、収容人員を増やすために5階部分を追加する形で改造。貨物や旅客が高層階に収容されることで航行中の船体の重心が変わり、航行が不安定になった可能性があるとの見方だ。

さらに過積載だったとの情報や、操舵装置に異常があったとの報道もあり、こうした複合的な要因によって韓国史上最悪の沈没事故が引き起こされた可能性が高まっている。

検察は、3等航海士に操船を任せた上、十分な救助活動を行わずに船から脱出した船長に対し、最高刑が無期懲役の特定犯罪加重処罰法(船舶事故逃走罪)を適用した。昨年7月、新たに制定されたもので今回が初適用となった。捜査当局は今後、救助された全乗組員、さらに船舶改造や船体整備に関わった業者など約20人から事情を聴く方針という。

こうした厳しい捜査方針は、国民の激しい怒りの矛先が政府に向かうことを避けたい朴大統領の意向をくんだものとみられる。ただ、船長の逮捕罪名である船舶事故逃走罪は、船舶間の海上衝突などを前提としており、韓国の法曹関係者の間では適用を困難とする見方も少なくない。

だが、韓国では、法律よりも「国民感情」を優先する傾向がある。今回、責任者の厳罰を求める国民感情がすでに形成されており、これを意識した朴大統領の“厳罰処分”の意向に反対できる余地はなさそうだ。

3等航海士「ほぼ全速の19ノットで方向変えた…統制不能になった」

セウォル号沈没事件

事故当時、船長は経験1年余の3等航海士に操船を任せていた。船長は韓国メディアに「針路を指示したあと、(事故当時)用事があって寝室にいた」と話している。

事故発生後、船内には動かないよう指示する放送が流れ、多くの乗客がこれに従った。韓国紙、中央日報によると、3等航海士は調べに対し、「ほぼ全速の19ノット(時速約35キロ)で方向を変えた。操舵装置が急に回り、船体がバランスを失い統制不能になった」と供述。未熟な操船が大惨事を招いた可能性が高い。車両積載限度の150台を超す180台の車が積まれていたことも分かっている。

海洋警察は18日夜、乗客数と救助者数を訂正し、死者と行方不明者の合計は302人に増えた。死者は33人。174人が救助されたが269人が行方不明となっている。事故当日の16日、韓国政府は368人を救助したと発表したが、重複があったとして下方修正していた。進まぬ捜索と正確さを欠く発表に関係者はいらだちを強めている。

乗組員

セウォル号沈没事件

多数の行方不明者、死者を出した原因として、乗員側の判断のミスが指摘されている。

船長と約30人の乗組員は、最後まで船内放送を続け遺体で発見された1人を除いて、事故発生後間もなく脱出し、海洋警察の警備艇に救助された。救助された乗客は、乗組員による避難誘導が行われなかったと証言している。

まず同船の船長(男性、69歳)は当初運航を任されていた本来の47歳の船長に代わって船を操縦していたことが明らかになり、杜撰な運行体制に一部のインターネットユーザーから非難が殺到した。また、韓国海洋警察が4月18日、事故発生時に操舵手に操縦を指示するなど船長業務をしていたのは、経歴が浅い26歳の3等航海士だったとの中間調査結果を発表、また同国海洋水産省による船舶自動識別装置の発信データ分析により、事故当時の16日午前、遭難信号を出す数分前に船が右に急旋回していたことも判明した。さらに、同船舶が車両を過積載していた可能性や、速度を上げるため安定性を維持するタンクから水を排出した疑惑も浮上、捜査本部は「あらゆる疑惑について徹底的に捜査する」と強調している。

なお、船長に代わって3等航海士が船の操縦を指示する事そのものは、韓国の法律上、違法ではない。また合同捜査本部は、事故地点で舵を切った行動そのものは「針路変更をすべき地点だった」としており、この進路変更が急激な旋回だったかを調査している。

さらに、船が沈没した位置は全羅南道新安郡と珍島郡の間の、屏風島、観梅島、孟骨島、松島等の島の密集地域で、事故発生当時は風が強かったわけでもなく、波も比較的穏やかだったが、濃霧による2時間の出航遅延を取り戻すために本来のコースとは異なる島々の間を通る直線コースを進んだものとみられている。

また事故船の乗務員による避難誘導も完全でなく、「救命胴衣を着用して待機してください」という船内放送が流れたのみで「動かないでください」などと繰り返していたという声もある。そのため、4階にいた多くの高校生たちのほとんどは船内放送に従って待機したままと見られ、適切な避難誘導がされれば多くの命が助かったとする声もある。沈没寸前まで前述の船内放送を担当していた女性職員も死亡した一方で、船長は座礁の通報から40分後には船外に出て、約50人の乗客とともに最初の警察警備艇に救助されていたほか、約30人いた乗組員のうち20人が救助され、機関士や操舵手ら6人もこの最初の救助船にいた。大韓民国船員法では、『船長は緊急時に際しては人命救助に必要な措置を尽くし、旅客が全員降りるまで船を離れてはならない』旨規定しており、4月18日、韓国海洋警察などの合同捜査本部は、事故当時、乗客の救助を尽くさず船を脱出したとして、船長について特定犯罪加重処罰法違反など、3等航海士と操舵手については業務上過失致死傷の疑いでそれぞれ逮捕状を請求した。4月19日未明、3人は逮捕された。

その一方、最後まで船内に残り、救命胴衣の自身の着用を後回しに乗客への配布を優先し、避難を呼びかけるアナウンスを最後まで続けた、女性乗務員の行動が生還者の証言から明らかになっているが、唯一死亡が確認された乗務員が彼女だった。

「乗客を置いて先に脱出したのは事実ですか」

セウォル号沈没事件

「乗客を置いて先に脱出したのは事実ですか」。

「…」。

17日、木浦海洋警察署で容疑者取り調べを受けていた「セウォル号」船長イ・ジュンソク氏(69)は、乗客より先に脱出した経緯について口をつぐんだ。乗客や船員の証言を総合してみると、イ船長は今回の事故の被害を大きくした主犯だ。

16日午前8時40分ごろ、「ドーン」という音とともに船が傾き始めたが、船長は船員に対し乗客の安全措置に関する指示を与えなかった。船内の案内放送を担当していたカン・ヘソン氏(32)は「船室から8時55分、済州海上管制センターに正式に救助信号を送ったのを確認した後、9時頃に案内放送を始めた」と話した。

スピーカーを通じて「安心してください。動かずに部屋の中で待ってください」という放送が流れた。だが船は片側の方向に傾き続けた。カン氏がいた案内デスク事務室も完全にひっくり返った。船が完全に傾いた状況の中でも、イ船長の追加の指示はなかった。カン氏は「午前9時30分ごろ船室から案内デスクに『乗客を安心させる放送をしろ』という内容が伝えられた」とした。このため以後30分間『部屋の中で動かないで』という同じ放送を7回も繰り返した。午前10時頃、船内は水でいっぱいになり始めた。その時初めて「ライフジャケットを着るように」という放送をした。15分後には「沈没が差し迫っているので乗客は海に飛び降りる状況に備えて」と言った。事故発生から1時間30分が過ぎた後だった。

救助を総指揮しなければならない船長イ氏は、すでに船を脱出していた。木浦海洋警察によれば船長をはじめ航海士、操舵手、甲板長、機関長らは午前9時30分ごろにはほとんどが船の外に脱出し、9時50分ごろ海洋警察警備艇に救助された。

船長は「乗客を安心させる放送をしろ」という言葉を案内デスクに伝えた直後に脱出した。船内に残っていた乗務員らも右往左往するしかなかった。安山の檀園高校の生徒たちが集まっていた船室には、ライフジャケットを配る乗務員もいなかった。セウォル号の救命ボート46隻のうち、浮かせたのはたった1隻のみ。最後まで残って救助を助けた乗務員は、船から出ることができなかった。セウォル号運航会社である清海鎮海運会社は、乗船人数さえまともに把握できずにいた。

会社側は16日の事故直後からこの日まで乗船人数を3回も訂正した。清海鎮海運のキミョンブン常務は「乗船券を発券した人員を基準に発表したが、錯誤があって再計算した」と釈明した。清海鎮海運は最近も、“安全不感症”を見せたことがある。所属するデモクラシー号が先月28日午前、仁川港から白リョン島に向かう途中、操業中の漁船と衝突した事故を起こした。この時も船長と船員は事故発生30分が過ぎるまで事故申告をしなかった。当時、乗船していたJ氏(31)は「『漁船と衝突して停止中のため座って待機していてほしい』という放送だけが流れただけで、ライフジャケットの着用や避難についての案内が全くなかった」と話した。結局、J氏が直接海洋警察に申告をした。

乗客見捨てた“海の男”自衛隊に救助の過去

韓国南西部全羅南道の珍島沖合で旅客船が沈没した事故では、乗客ら300人以上が死亡、行方不明となる一方で、逮捕されたイ・ジュンソク船長をはじめ、船の航行に直接関わる乗務員は全員救助された。

経歴の浅い3等航海士に操縦業務を任せ、乗客を見捨て、いち早く沈没現場から逃げた船長の無責任さに非難が集まっている。救助の際、船長は自ら船長であることを名乗っていなかった。その後、波紋を広げているのが、船長による10年前の発言だ。韓国・済州島の新聞(2004年元日付)に船長のインタビューが掲載されている。

この中で船長は「初めて乗った船が沖縄近海で転覆し、自衛隊がヘリコプターで救助してくれた。あの時、救助されなかったら、今の私はなかった」と語っている。

台風など危険な時については、「人とはずる賢い。だが、危機を乗り越えればそんな思いは消える。それで私は今日まで船に乗っている」と、今回の対応とは正反対の話をしていた。

さらに、家族らといる時間よりも船上にいる方が長く、「故郷を訪れる方々を船に乗せ、私の分も幸せな時間を客が家族と分かち合えるようすることに慰められている」「今日も明日も、私は船と一緒にいるつもりだ」と“海の男”ぶりを堂々と口にしている。

だが、海ほど心は広くなかったようだ。行方不明者の安否が気遣われる中、救助後には宿舎の部屋で、海水でぬれた1万ウォン札(約1000円)を広げて乾かしていた姿が目撃されている。

ライフジャケット着る方法さえ教えなかった

仁川から済州まで旅客船で14時間かかるにもかかわらず、2年生325人を乗せて送り出した安山の檀園高校側が、生徒たちに乗船に関する安全教育を全く実施していなかったことが明らかになった。救命ボートの使用法や、ライフジャケットを着て海上救助を待つ方法などを習っていれば生存者がさらにいたかもしれないのに、教育部や教育庁・学校側が安全教育を放置していたのだ。

救助された檀園高校の生徒Pさん(17)は17日、「修学旅行に出発する前に、学校で『バスに乗ったら安全ベルトを締めろ』という話を聞いたほかは、船に乗った時にどのようにしろといった安全教育は受けたことがない」と話した。

船舶や飛行機を利用する団体修学旅行が増加しているが、教育部は今年2月に学校に配布した現場体験学習マニュアルにはバスについての内容だけが含まれており、大型事故を招いたという非難を受けている。マニュアルにはバス利用時の緊急状況対処法はあるが、船舶や飛行機についての内容はない。

檀園高校側は「移動経路上の事故多発点を含めて旅行前に2回の事前現地調査をする」という規定もまともに守らなかった。キム・ジンミョン校長は「教頭と学年部長が2回現地調査したが、船便ではなく飛行機を利用した」と話した。

教育部は、マニュアルで100人以内の小規模・テーマ型の修学旅行に行くようにとしているが、相当数の学校は学年全体で長距離移動をする観光型の修学旅行を続けている。生徒たちの安全が担保されていない「牛追い式」の行事に、保護者が不安を感じ修学旅行を廃止しようという世論も高まっている。京畿道教育庁は21日以後に予定されていた現場体験学習を全面的に中断・保留するようにした。教育部も来週初め、全国の学校の修学旅行の暫定保留の有無を決める。

韓国生活安全連合のユン・ソンファ代表は「政府部署が生徒の安全管理責任を転嫁することに汲々としている」として「生徒たちの野外体験活動に合わせた安全教育システムが必要だ」と強調した

救命いかだ、検査せずに虚偽書類 整備会社。20年前取り付けたまま

韓国の旅客船セウォル号沈没事故で、ことし2月に救命いかだの安全点検を行った整備会社が、実際には全く検査せず、いかだの状態は「良好」とする書類を作成、政府から管理を委託された業界団体に提出していた。

救命いかだは、船が建造された20年前に取り付けられ、交換されず使用。固定器具がさびていた上、船体を塗り直した塗料で甲板にくっついて使えなかったとみられている。イ・ジュンソク船長(68)=業務上過失致死容疑で逮捕=らは、いかだが使えないことを認識し、発覚を恐れて乗客に退避を命じなかった可能性がある。

合同捜査本部は、整備会社の次長を10日に拘束し、業界団体に対する業務妨害容疑での逮捕を検討。手抜き検査を見逃した同団体の管理態勢も捜査する。

韓国船最大積載量約1000tだったのに3600t積載していた

沈没したセウォル号は、韓国での改造により、傾いた時にもとの状態に戻ろうとする力、いわゆる「復原力」が今回の航行では働かなかったことが指摘されている。

セウォル号は、改造によって重さの中心が高くなったことで、船底の「バラストタンク」といわれるタンクに一定量の海水を入れ、船のバランスを保ち、貨物量を987tに抑えることが航行の条件となっていた。

しかし、実際には、船会社がこれを無視していたと韓国の国会議員が明らかにした。貨物室には、1層目には車両が駐車され、2層目には貨物が積まれていた。最大積載量987tに対し、今回の航行では、コンテナや車両180台など合わせて3600tの貨物が積まれていたとみられている。最大積載量の3倍以上の貨物が積まれたことで、復原力が失われ、沈没した可能性が出てきた。

過積載、右急旋回、荷崩れ、避難誘導なし…動かぬ「人災」、お粗末すぎる安全管理

韓国南西部珍島沖で沈没した旅客船「セウォル号」の事故原因はいまなお特定されていないが、急旋回したことで過積載の積み荷が荷崩れし、転覆に至ったとの見方が有力だ。船長が真っ先に脱出したり、運航会社が安全教育を怠るなどずさんな安全管理態勢が被害を拡大させた疑いも浮上。韓国船舶史上最悪の惨事となった今回の事故について、専門家からは「明らかな人災」との見方が強い。

船体のバランス悪化

船体管理と操舵の過失が絡んだ原因解明のため、捜査当局はまず船長のイ・ジュンソク容疑者(68)ら乗員8人を逮捕。船の改造業者や運航会社関係者ら計44人の出国も禁じ、事情聴取を続けている。

韓国メディアはこれまで、有力な事故原因として、高速航行中にほぼ直角に右旋回した可能性を指摘していたが、聯合ニュースは21日、実際には半円を描くように右旋回していたと報じた。操船状況については関係者の供述に食い違いがあるとされ、捜査の焦点になっている。

もう一つ注目されているのが、過積載状態での荷崩れだ。急な右旋回により、積み荷を固定していたロープがほどけて左側に片寄り、航行の安定を保つ復元力が失われた可能性が高いとみられている。

朝鮮日報日本語版によると、セウォル号は150台の車両積載限度に対し180台を積んでいたことも判明。鈴木邦裕神戸大海事科学部客員教授は「客室増設の改造を施して重心が高くなっている上、過積載でさらに重心が上がり、船体のバランスが悪くなった可能性がある」と指摘する。

職務放棄に批判の嵐

乗客を救助せず船から脱出したとして特定犯罪加重処罰法違反容疑で逮捕された船長のイ容疑者も、激しい批判にさらされている。

事故当時、セウォル号には船長以下、1等航海士機関士ら約30人の乗員が乗船。船内放送で避難誘導して逃げ遅れた乗員1人を除き全員が救助された。イ容疑者は、乗客に脱出指示を出さないまま船を離れた。

運航会社も、運航管理規定で義務付けられている10日ごとの消火訓練や人命救助などの海上安全訓練をほとんど実施していなかったことも判明している。

鈴木客員教授は「安全訓練の実施状況をチェックしていたのか、国の監視態勢も問われてくる」と話す。

判断遅れで被害拡大

修学旅行途中の高校生ら100人以上が命を落とした今回の惨事では救助方法も議論の対象となった。

沈没船に穴を開け空気を注入する方法も検討されたが、「生存者に必要な船内の空気が漏れてしまう」といった家族らの懸念もあり見送られた。

救助活動に詳しい海難審判庁OBは「沈没船に穴を開ける行為は一概に善しあしは判断できない」としつつも、「沈没するまで2時間もあった。海面に出ている船体を固定し穴を開けて救助に入る手法もあったはずだ。判断の遅れも被害拡大につながった可能性が高い」と指摘した。

「海洋警察は手を伸ばせば届くところにいたが、助けてくれなかった」韓国セウォル号事故、生還した高校生は法廷で無責任な祖国を断罪

多数の死者を出した韓国の旅客船「セウォル号」沈没をめぐる裁判で、救出された京畿道安山市の檀園高校の高校生や、救助活動にあたった関係者らが証言台に立った。

「救助すべき人が何人いるかすら知らなかった」「(海洋警察は)手を伸ばせば届くところにいたが、助けてくれなかった」。

概要や内容を把握せず、また、そうした情報のやりとりがなく、まるでよくある小さな事故のように漫然と救助にあたったと疑念を抱かせる証言の数々。「相手」や起きた事象をきちんと理解しない韓国の悪弊がそこにもあった。

「(沈没現場に)到着直後、何人かの乗客が船の外に出てきたのを見て、当然退船措置が取られたものと考えた」

「沈没しつつある船で(船員たちが)乗客を脱出させていないとは考えもつかなかった。そのときは脱出した人をヘリに乗せて救助することが最優先だと思った」

朝鮮日報によると、光州地裁で8月13日行われたセウォル号沈没事故の公判で、救助活動にあたったヘリコプター3機の航空救助士たちはこう証言した。驚くのは、救助する側が、その救助内容も、事態の深刻さも認識していなかったということだ。

「旅客船が沈没中ということしか聞かされておらず、船内に数百人がいたことなど、何の情報も知らされていなかった」

航空救助士たちはそう話したという。これでは助かる命も救えないのは当然だろう。

沈没中という事実は知らされていても、そもそもセウォル号の乗客数という基本事項さえ知らなかった。「もし状況を知っていたら、何としてでも船内への進入を試みただろう」と述べる航空救助士もいた。

公判から浮かび上がるのは、現場の状況を正確に把握できないまま行われている救助活動の実態だ。今回の沈没だけでなく、あらゆる現場で同様のことが行われているのではないか。

7月28日に水原地裁で行われた公判では、救助された高校生たちが、当時の様子を証言している。その証言から分かるのは、本来救助活動にあたるべき船員や海洋警察が“何もしなかった”ということだ。朝鮮日報や中央日報によると、生徒たちはこう証言している。

「手を伸ばせば届く距離に海洋警察がいた。海洋警察は出てこいとも言わず船に上がることもなかった」

「(海洋警察は)非常口から落ちた人たちを引き上げるだけだった。非常口の内側に生徒がたくさん残っていると話したが、眺めているだけだった」

「助けてくれた大人たちはいなかった。友人同士で助け合って脱出できた」

救助現場に行くまでに情報を得ず、現場に到着して悲惨な状況を見ても、なお救助の打開策を見いだせなかった。現場に到着した人も、指示を与えていた人も、「救助のプロ」ではなかったということだろう。

高校生の証言によると、沈没している際に船員から状況説明はなく、「檀園高校の生徒はその場で動かずにじっとしていろ」という内容の船内放送が繰り返されたという。

セウォル号の内にも、外にもプロはいなかったのだ。

事故をめぐる事態は“迷走”を続けている。

利益優先、安全軽視の運航を指示したとされ、背任容疑などで指名手配された運航会社会長の兪炳彦(ユ・ビョンオン)容疑者をめぐる事態が、救助に関する不備を見落とさせている、大きな理由だろう。しかも兪氏が変死体で発見されて捜査の不備が指摘されるなど、批判の矛先は捜査機関に向いている。

兪氏の遺体発見後、運航会社に99億ウォンの被害を与えたなどの背任・横領容疑で、逃走中だった兪氏の長男の兪大均(ユ・テギョン)容疑者が7月25日に逮捕された。セウォル号沈没の真相究明への期待もある。

ただ、被害者が多数に及んだ原因はそれだけではないはずだ。もし船の内外に「プロ意識の高い人」がいれば、助けられる命はあったのではないか。

検察側は乗客らへの救護措置を怠ったとして、船長ら乗組員15人を殺人罪などで起訴したが、初公判で15人中14人が罪状認否を否認している。韓国の「良心」は15人に1人しかいなかった。

相手(事象)のことをしっかり理解、把握し、その上で対処法を考えていないから起きた人災だ。しかも韓国ではセウォル号沈没事故後、あらゆる場面で、こうした「無責任」を原因とした事態が相次いで起きている。

日本は「プロ意識」の少ない国とどう付き合えばいいのか。セウォル号沈没が抱える「本質」はそこにある。

檀園高校生徒遺族ら「政府は故意にセウォル号の乗客を救助しなかった」

旅客船「セウォル号」沈没事故で犠牲になった檀園高校(京畿道安山市)の生徒の遺族らが、ソウル大学で行われた対談会で「政府が故意にセウォル号の乗客を救助しなかった」と主張した。

檀園高校の生徒2人の母親と「セウォル号惨事国民対策会議」のチュ・ジェジュン政策企画班長は2014年11月5日午後、ソウル大で行われたセウォル号惨事に関する対談会の席上「政府は国民と遺族、(行方不明者の)家族に対し、(救助に)全力を尽くすと言ったが、全てうそだった。(政府が)子どもたちを救助しなかったということは、誰の目にも明らかな事実だ」と主張した。

遺族らはその根拠として、事故が発生した(今年4月16日)午前8時48分からセウォル号が沈没した同10時17分まで十分な時間があったことや、海軍の救難艦「統営」が出動しなかったことなどを挙げた。

遺族らはまた、政府がわざと事故を起こした可能性もあると主張した。檀園高校生徒の母親の一人は

「セウォル号の事故が発生したとき、最も得した人物が誰なのか考えてみてほしい。大統領選挙の不正疑惑で世論が沸騰していたときに事故が発生した。それから1カ月の間、(不正疑惑が)全て闇に葬られた」と語った。その上で「(政府が)事故を起こすためにジグザグに運航した航跡を隠し、ほかにもこれまで、事故を隠蔽するための行動を取ってきた」と述べた。

救助班や朴槿恵大統領を非難する声も出た。前出の母親は

「公務員や海軍、海洋警察は、国民の生命を守るために存在するものだ。彼らは自分の命を捨ててでも、国民の生命を守らなければならないのに、決死の行動に出た人が誰もいなかった。十分な救助を行うために造られた救難艦『統営』が2回出港したにもかかわらず、それを追い返した。そんなことができる権力者が誰なのか、私たちは皆知っている。最高権力者しか考えられない」とも主張した。

今回の対談会は「セウォル号惨事の真相究明のためのソウル大学生連帯」が主催し、同大の学生約30人が出席した。

事故船

乗組員以外の原因として、船舶の改造が挙げられている。

該当船のセウォル号は1994年に日本で建造され、当初、鹿児島県マルエーフェリーが鹿児島-沖縄航路で「フェリーなみのうえ」(全長145メートル、幅22メートル、6586総トン、旅客定員804人)として運行していたもの。長崎県林兼船渠において1994年6月に竣工し、翌7月の定期点検時に建造時の5,997総トンから6,586総トンに改造、マルエーフェリー時代は5階建てで、船底に最も近い1階部分に貨物甲板、2階に乗用車約200台分の車両甲板、3階にレストランや案内所、売店などがあり、客室は3階より上にあった。

2012年10月1日にマルエーフェリーを引退した後、既に就航していた「オハマナ」(元大島運輸フェリーあけぼの(初代)」)の増備用として東京の商社を通じて、韓国の清海鎮海運に売却された。その際、乗組員居住区画のある最上階部分船体後方に客室を増設するなどの改造が施され、重心が日本時代より高くなり、定員数は804人から921人に、総排水量は6,825トンにそれぞれ増加、車両180台、20フィートコンテナ152個を積載可能な船舶として、清海鎮海運は「韓国最大のクルーズ船」と幅広く宣伝、2013年3月15日より「セウォル」として仁川-済州間週2往復の定期運行を開始、定員を活かして団体旅行にも利用されていた。

この改造は違法ではないが、この改造で重心が高くなり、バランスを取るのが難しくなったために転覆した可能性が慶尚大学の教授により指摘されている。これに対してソウル大学の名誉教授が異議を唱えている。

セウォル号には水圧を関知して膨らむ救命ボートが46艘設置されていたが、実際に使われたのは1艘のみであった。

また、李明博政権の2009年に、企業コストを削減するために旅客船の船齢制限を20年から30年に延長するなど、船舶に関する規制緩和が成立しており、これが今回の事故に影響したのではないかと野党新政治民主連合の議員が主張している。

運航会社

船を運行していた清海鎮海運の発表によると、事故当時、セウォル号には大型トレーラー3台など車両180台など2451トン、大型鉄製タンク3基など貨物1157トンが積まれていた。だが、発表内容には疑問がもたれ、聯合ニュースは「最大積載量を超過していた可能性が高い」という。実際に、セウォル号の車両積載限度は150台となっている。船の運航会社は、貨物も含めた総積載量は限度内に収まっていると釈明している。

また、運航会社の清海鎮海運は近年、故障や衝突などの事故を繰り返していることが分かっていて2011年4月にエンジン故障により622名の乗客を乗船させたまま約5時間航行不能となり漂流事故を起こし、2013年3月にも燃料フィルター欠陥によりまた約5時間の漂流事故を起こし、2014年4月には漁船との衝突事故を起こしていて、前述の韓国内での旅客船の船齢制限とも関係するが同社の仁川-済州島間で運航されている僚船「オハマナ」は船齢はもっと古く1989年9月の就航なので約5年古い船となっていて2009年の規制緩和によって制限を延長してもらっている船となる。

韓国の反応

救助活動

韓国政府は、事故後に事故対策本部を設置した。

事故発生から約4時間半後、4月16日の昼には安全行政部や対策本部は「368人が救助され、約100人が安否不明」、修学旅行中だった学校の関係者や京畿道教育庁は「生徒・教師338人が全員救助された」と発表したが、その3時間後には海洋警察が「約300人の安否が依然不明」とするなど、各所で人数に関する情報の錯綜が見られた。

旅客船の航路や救助活動の説明でも訂正が相次いでおり、乗客の家族や関係者は不信感を募らせた。人数の混乱について、海洋警察や民間船舶などの救助者の集計が重複したためと説明したが、朴槿恵大統領は「なんで200人も差が出るのか」と叱咤した。事故から13時間が経過しても、安全行政部海洋水産部海洋警察など関連部処は、旅客船乗船者の名簿さえ確定できなかった。海洋警察は、救出にとって重要な海上クレーンの使用料負担を巡って船舶会社と対立し、出動が遅れるという不手際が発生した。

また、海洋警察は4月16日時点で「船内に酸素を注入している」と乗客の家族に説明していたが、実際にはその時点では設備自体用意できておらず、設備が届いたのは翌17日夕方であり、説明が虚偽であったことについて乗客の家族から激しい抗議を受けた。

現場海域は海水が濁っており、視界は20~30センチメートルとほぼゼロの状態であり、さらに流れが急で漂流物も多く、捜索は難航している。1日に2回の引き潮と満ち潮の境目の時間を中心に、潜水士たちが水中からの接近を試みていたが、17日には船内に入ることはできなかった。事故から2日後の18日午後、船内に入ることに成功し、船内の捜索が始まった。なお、韓国政府は18日午前、潜水士が初めて船内に入ったと説明したが、実際にはこの時点では成功してはおらず、ここでも捜査当局の情報の混乱が見られた。

しかし、新たな生存者の確認はできないまま、19日昼には、海難事故での生存率が大きく低下する目安の72時間が経過した。ある海洋警察当局者は、フランス通信社の記者に「正直な話、生存者発見の可能性はゼロに近いと思う」と漏らしている。

セウォル号への空気注入作業で間違えて一酸化炭素など汚染ガスを送り込んでいた疑い

韓国の旅客船セウォル号沈没事故で、水没した船内の空気だまりに生存者がいると想定し韓国政府の救助チームが行った船内への空気注入作業で、人体に致命的な一酸化炭素など不純物で汚染された工業用圧縮空気を送り込んでいた疑いがあることが6月30日までに分かった。

作業に加わった潜水士の証言を野党新政治民主連合の金賢美国会議員が明らかにした。独立系ニュースサイト「ニュース打破」は、工業用空気を毎分約5立方メートルしか注入できない小型コンプレッサーが使われていたと報じた。

事実なら当局は、行方不明者の生還につながる対応を全く取っていなかったことになる。

海洋警察幹部、失言で更迭「80人救助は大したもの」

韓国の旅客船沈没事故で捜索活動などに当たる南西部、木浦の海洋警察署幹部が事故翌日の17日、初動対応が不十分だったのではないかとの記者の質問に「海洋警察に何の問題があるのだ。80人救助したのだから大したものではないか」と発言。海洋警察庁は22日、不適切な発言だったとしてこの幹部を更迭した。聯合ニュースが報じた。

海洋警察関係者は、「幹部の発言は旅客船事故の犠牲者の遺族を傷つけるものだった」と更迭理由を説明した。

事故をめぐっては行方不明者の家族が集まる南西部、珍島の港で記念撮影をしようとした安全行政省高官も更迭されている。

「様子がおかしかった」救助に駆け付けた漁船の船長が証言

2014年4月22日、韓国・中央日報は、セウォル号沈没の事故現場で救助活動に当った漁船の乗組員らの証言を紹介した。23日付で河南商報が伝えた。

セウォル号が沈没しかけた時、周囲にはすでに多くの船が到着しており、救助のための準備を整えていた。しかし、海に飛び込んで避難しようとする人はほとんどいなかったという。救助に駆け付けた船長は「様子がおかしかった」と話す。

同船長は「船はすでに45度以上傾いていて、持ち直すのは不可能だった。しかし、誰も海に飛び込もうとする人がいなかった。飛び込んでいれば助かっただろうに」と話している。

セウォル号から50メートルの距離にいた別の船の船長は、汽笛を鳴らして救助が来たことを知らせていた。この船の船長は、「ライフジャケットを着て飛び込めば、引き揚げられた。乗客は必ず海に飛び込むだろうと思って待っていたが、誰も行動を起こさなかった。驚いた」と話している。

指揮体系不在で海警と民間ダイバー間に確執、海洋警察が暴言。民間ダイバーらは撤収

「本業を放り出して駆け付けたのに、こんな侮辱を受けるとは思わなかった」

「おい、この野郎、ここが誰でも来られるところだと思っているのか?」

22日午後、屏風島(全羅南道珍島郡)から北方3キロの事故現場。旅客船「セウォル号」沈没事故で行方不明になっている乗客の捜索作業に加わった民間人ダイバーたちがゴムボートに乗って現場に到着すると、大型船に乗っていた海洋警察の口から暴言が浴びせられた。

現場にいた民間人ダイバーは「はしけ船に乗り移ろうとしたところ、突然責任者らしき海洋警察官が暴言を浴びせてきた。本来の仕事を放り出して駆け付けたのに、事故現場でこんな侮辱を受けるとは思わなかった」と話す。

はしけ船の責任者だったこの海洋警察官はこの時点で民間人ダイバーの潜水を許可していなかったことが分かった。このとき船にいた民間人ダイバーはほとんどが1万回以上のダイビング経験を持つベテランだった。

セウォル号の救助活動は8日目を迎え、作業を指揮する海洋警察側とボランティアを志願した民間人ダイバーの間で確執が高まっている。

ファン会長によると、22日の一件が広まったことで、救助活動を申し出た民間人ダイバーのほとんどは引き上げたという。救助活動を申し出た民間人ダイバーは合計512人。このうち同日まで現場に残っていた200人のうち残ったのは約30人で、あとは全員帰宅した。

23日午前に救助現場に向かった民間人ダイバーは11人だけだった。民間人ダイバーたちは「潜水する前に謝罪してもらうべきではないのか」と抗議している。

民間人ダイバーのキム・ヨンギ韓国水中環境協会大田本部長は同日「現場撤収に関して記者会見を開く」と発表していたが、取り消された。

ファン会長は「こうした確執は救助活動の初期からあった」と語った。

現場の指揮統制は海洋警察が執っているが、救助活動には韓国海軍も民間人ダイバーも参加しているため双方を束ねる効率的な指揮体系がなく、混乱だけでなく確執も起こっているという。

ダイバー団体「ドルフィン水中」のキム・ジュンチョル代表(47)は「私たちはよりすぐりのメンバーがそろっているが、民間人ダイバーの実力を信じられないようだ」と語った。

放送担当女性「どうすれば」に無言、船長ら逃走

乗客の救助策さえ議論せず、救助船が来ることだけを待った――。

韓国の旅客船「セウォル号」沈没事故。検察などの合同捜査本部は2014年5月15日、船長ら4人に異例の殺人罪を適用し、救助の無策ぶりを厳しく批判した。

「適切な避難指示の放送さえあれば、乗客の救助は十分に可能だった」。

捜査幹部は15日、記者団を前に、殺人罪適用の理由をそう語り、「船内に残れば乗客が溺れ死ぬことがわかっていながら、自分たちが生き残ることしか考えていなかった」と厳しく指摘した。

捜査本部によると、セ号は2012年に改造した影響でバランスが悪くなり、傾いた際の復原力に深刻な問題が起きていた。船長らは、これを知っていたが、事故当日も貨物の最大積載量が1077トンのところ、2142トンを積載。捜査関係者は、「赤字を免れるために、貨物を最大限、積載せざるをえない状況だったのだろう」と分析する。

操船も未熟な担当者に任されていた。現場は「韓国で2番目に海流が速い」と言われる海域だ。にもかかわらず、船長は入社半年の3等航海士に操船を任せて、自身の寝室へ。方向を転換する地点になり、3等航海士は「5度かじを切る」指示を出したが、操舵手も経験が浅く、誤って15度かじを切った。復原力に問題があったセ号は、あっけなく横転してしまった。

事故を知った船長や1等航海士らは、すぐ操舵室に集合。船長は事故から約10分後にようやく、船内放送の指示を出したが、乗員は担当者に沈没の状況を詳しく伝えず、7回も「船内待機」の放送だけが繰り返された。

この間、近くを航行中の貨物船から「脱出すれば救助する」との連絡も入った。にもかかわらず、船長らは救命装備を海上に投下する準備さえせず、救助船の到着を待った。

放送担当の女性乗員は、「どうすればいいんですか」と、乗客への退避措置の指示を求めたが、船長らは何の応答もしないまま、乗客のふりをして逃走した。

各方面への影響

  • 修学旅行を引率し、自らは救助されていた安山檀園高等学校の教頭が、4月18日夕、珍島の山林で遺体で発見された。珍島警察署によると、首をつった跡があったことから、自責の念にかられて自殺を図ったとみられる。所持していた財布からは遺書が見つかっており、「200人の生死が分からないのに、一人だけ生きるのは辛い。自分にすべての責任を負わせてほしい。自分が修学旅行を推進した」など自責の念が記されていた。
  • 各放送局は事故関連のニュースを報じ続け、バラエティー番組を自粛。政府の文化行事や映画関係のイベントも相次ぎ中止になっている。
  • 17日にソウル市内のファジョン体育館で行われた大学バスケットボールリーグ、高麗大学延世大学戦では、両チームの選手たちが試合前に黙祷を行い、試合会場にはセウォル号の乗客の無事を祈るボードが掲げられた。
  • サッカーKリーグでは、4月19、20日に試合を開催する予定のKリーグクラシック(1部リーグ)とKリーグチャレンジ(2部リーグ)の全チームに「過度な応援は自粛してほしい」と呼びかける公文書を発送した。多数の生徒が乗船していた安山檀園高等学校のある安山市を本拠地とするKリーグチャレンジ(2部リーグに相当)・安山警察サッカー団は、2014年4月20日に予定されていたホームゲームを延期した。
  • 地上波3テレビ局とケーブルテレビでは、バラエティ番組、ドラマ、音楽番組などを相次いで放送中止とし、また映画界も4月18日迄に予定されていた全イベントをキャンセルした。
  • 事故後、SNSや、行方不明者の家族の携帯電話電子メールSMSなどに、行方不明の高校生を名乗って救助を求めるメッセージが多数書き込まれた。韓国の警察は、行方不明者の携帯電話の利用記録を照会した結果、事故が起こった16日以降にメッセージが送信された記録がなかったことから、これらは全て行方不明者を装った偽者と発表した。警察は、悪質な悪戯として捜査している。
  • 韓国のニュース専門ケーブルテレビ局「毎日放送」(MBN)は4月18日午前6時、民間潜水士を名乗る女性が「海洋警察が民間潜水士の救助活動を遮断し、適当に時間をつぶしていけと言われた」「潜水士が船内にいる生存者の声を聞いた」と述べたインタビューを現場から生放送したが、それが事実ではない情報、もしくは確認のとれていない情報であったため、同局の報道局長が同日昼のニュースで謝罪した。なお、その自称潜水士の女性については、過去に詐欺事件で捜査を受けたり、芸能人やスポーツ選手について虚偽の内容を流すなどしていたとされており、韓国のスポーツ紙では彼女の素性が詳細に記されるなどしている。

行方不明者の家族ではなく、一般の人が港でタダ飯食ってお酒を飲んで祝い酒

セウォル号沈没事故4日目である19日警察が失踪者家族が集まった全南珍道彭木港の出入り規制に出た。

失踪者家族や救助関係者でない彼らがボランティア団体が用意した食べ物を食べるなど現場を混雑させているためだ。

全南地方警察庁はこの日、円滑な死亡者、救助者搬送のために彭木港出入りを統制すると明らかにした。彭木港はセウォル号沈没にともなう死亡者や救助者が到着する場所だ。

警察は彭木港と西望港へ行く分かれ道がある三叉路で救助関係者や失踪者家族の出入りだけ許諾して残りの人々は統制している。

警察は救助関係者や失踪者家族でないこれらが彭木港に設置されたボランティアテントで食物を食べる行為が繰り返されて統制に出た。死亡者や救助者移送に困難が発生しているためだ。

何人かの人が彭木港に訪ねてきてボランティア団体が提供する食べ物をおつまみにして酒を飲んで騒動を起こす行為もあったと警察は説明した。

警察のある関係者は"どんな目的で彭木港を訪れたのかは分からないが失踪者家族でない一般の人たちが多くて私服警察官を通じて確認後措置している"と説明した。

一方彭木港を行き来した観梅島、鳥島間定期旅客船は西望港で運航される。また、彭木港を経由する郡内バスも西望港を経由することに変更された。

教育相が集まった不明者家族に背を向けてカップラーメンを食べる

船内で見つかった遺体が安置された珍島・彭木港を20日夕、李柱栄海洋水産相らが訪れた際、騒ぎが起きた。韓国各紙によると、居合わせた安全行政省の局長が、貼り出された死亡者名簿の前で「記念写真を撮ろう」と発言。

聞きつけた遺族らに取り囲まれ、「それでも人間か」「遺体と記念撮影するか」と詰め寄られた。李氏は遺族らにその場で謝り、この局長は、21日に解任された。

事故発生当日の16日には珍島の体育館で、徐南洙教育相が集まった不明者家族に背を向けてカップラーメンを食べ、ひんしゅくを買った。

6月の統一地方選を控え、政治家らへの視線も厳しく、ソウル市長選に出馬予定の与党セヌリ党重鎮・鄭夢準議員は21日、息子がフェイスブックに「国民が未発達だから、国家も未発達だ」と書き込み、謝罪に追い込まれた。

同党内では「このままでは6月の統一地方選は惨敗だ」との悲観論も出ている。

活発に活動する失踪者代表、事故と無関係で家族が誰も失踪していない政治家だった

セウォル号沈没事故で多くの学生たちが犠牲になった中、失踪者家族代表として活動してきた人物が今回の事件と大きい関連がない政治家という報道が出てきて衝撃を与えている。

総合編成チャンネル「チャンネルA」は21日、失踪者家族代表を引き受けて活動中であるソン・ジョングン(53)さんが京畿道安山の新しい政治民主連合京畿道議員予備候補だと確認されたと報道した。チャンネルAは「セウォル号搭乗者の中にソンさんの子供など家族はない。この事実を知ることになった失踪者家族は激昂した反応を見せた」と伝えた。

ある失踪者家族は放送で「(ソンさんが)誰かと通話し"私の政治生命が終わればお前が責任を負え"と話すのを聞いたのです。なので興ざめです。私たちは…」と話した。 ソンさんは誠意が疑われるかもと考え去る18日予備候補職を辞退したと判明した。

ソンさんは去る17日パク・クネ大統領が失踪者家族が集まった全南珍道体育館を訪問した時家族代表として司会を担当した。ソンさんは1997年から京畿道安山で家出青少年のための憩い場を運営してきたし国会議員秘書官なども歴任した。

遺族と生存者家族が病院で衝突…助かった子どもに謝罪しろなど罵声

韓国南西部、珍島沖で発生した旅客船セウォル号沈没事故で死亡した檀園高校の学生の遺族らと、奇跡的に生還し入院治療中の学生の家族らが衝突を起こし、周囲をがっかりさせた。

病院関係者は「病院内に葬儀場と病室が存在するため、そのような争いが広がったようだ」と心配した。

去る20日午前、京畿道・安山市・檀園区コジャン1洞コリョ大学校安山病院本館1階のロビーでは、病院内の葬儀場に遺体が安置されたある遺族と、生存学生の家族間で、衝突が起こった。

遺族Aさんは、患者衣姿で腕に点滴をした学生が保護者と共に横を通ると、「うちの子はいったいどこへ行ったんだ…」と言い放った。予想外の攻撃を受けた学生の保護者Bさんも激憤し、「うちの子は罪人なのか。なぜうちの子に文句を言うのか」と対立した。2人は病院の保安担当職員に制止され、おおごとにはならずに済んだ。

19日午後にも、ある行方不明者の家族が同病院に入院中の教諭Cさんのもとを訪れ、「子どもたちのことは放っておいて、ひとり入院しているのか。わたしたちに謝罪でもすべきではないか」と抗議する場面があった。結局、Cさんは別の病院に移り入院したが、深刻な不安感を訴えているという。

病院側はこのような衝突に関して、遺族と生存者家族が同じ場所で顔を合わせることのないように配慮を行う方案を検討している。

韓国沈没船事故、犠牲者追悼集会に参加した女性に真っ裸の取調べ

2014年5月24日、韓国・朝鮮日報によると、韓国旅客船「セウォル号」沈没事故の犠牲者追悼集会に参加し警察に連行された女性が、取り調べで下着を脱ぐよう命じられたとして、韓国国内で物議を醸している。

警察当局が23日に明らかにしたところによると、東大門警察署は18日、連行した6人の女性に対し、「自殺を防ぐため」としてブラジャーを脱がせたという。その後の2日間、6人は下着を着けない状態で取り調べを受けた。

韓国の最高裁は2013年5月、「警察が勾留において下着脱衣を強制するのは人権尊重や職権濫用禁止などの規定に違反する。勾留時の身体検査も一定の制限の下でのみ許される」との判決を下している。

東大門警察署は「身体検査を行った女性警察官は派出所勤務が長く、捜査課に配属されて2カ月未満で、規定をよく理解していなかった」とした上で、「監察当局による調査が終わり次第、関係者を厳重に処罰する」と話した。

「ウリは沈没事故で死んだ娘の父親ニダ」12年前に離婚して養育放棄した父親、娘の死を聞き保険金ゲットしに現われる

セウォル号惨事で大事に育てた娘を一瞬に失ったAさんは先月22日衝撃的な報せに接した。12年前に離婚した前夫Bさんが娘の死亡保険金5,000万ウォンの半分である2,500万ウォンを受領したというのだ。

Bさんは娘の出棺翌日、病院で死体検案書(死亡診断書) 10部を提出するなど死亡保険金を受けるために事前に緻密に準備した。

この保険は早朝の仕事をしながら娘の病気などに備えてAさんが1ヶ月に6万ウォンずつ注いだのだ。前夫Bさんは離婚後序盤に35ヶ月後に生活費30万ウォンを支給しただけで以後養育に一切寄与しなかったし再婚もした。

だが、法的に『父親』という理由で娘の保険金を受領して行ったのだ。

ここにセウォル号に乗船した安山檀園高学生と教師たちが団体に加入した東部火災団体旅行者保険の死亡保険金1億ウォン中5000万ウォンもBさんに支給されるところだった。Aさん側が保険会社側に連絡してBさんに保険金を支給するなと頼んでおいたが現行法上Bさんの受領を防ぐ方法がない。

多数の遺族によれば今回の事故にあった安山檀園高学生325人中50人余りがある両親家庭や祖父母が養育する家庭と現れて遺族の間でこの問題が深刻に台頭している。

ある遺族は「父兄の間で心配が多い。まだ失踪者をすべて探すこともできない状況で家庭事情を表わしてまで出ることはできないのが実情」としながら「離れた実の母親、父親の保険金の問い合わせが増加していて今後紛争が増えるだろう」と話した。

未婚で子供がない檀園高学生が被保険者である場合、両親が最優先相続者となる。保険契約書に死亡保険金の受益者(受領権者)を別途指定しなかったとすれば離婚の有無や養育寄与度と関係がなく両親が50対50で保険金を分けて受けることになる。両親が子供を捨てて離れて祖父母の下で育った場合にも両親が生きているならば相続権は両親に優先的に戻る。

現行法上実際の養育上の特別寄与分を主張するには別に訴訟を提起しなければならない。損害賠償金の場合、慰謝料の性格が強くて養育に寄与した両親に優先的に差別支給される可能性が高い。だが、補償金のうち子供の方の場合、保険金と同じように両親に半々ずつ相続されることができる。

これに対し法律専門家は「過去天安艦事故や慶州マウナリゾート事故当時、似た問題が提起されて特別法制定議論がなされたが被害事例が少なくて法案発議に至らず即座に忘れられた」として「配偶者の親権自動継承規定を改善した『チェ・ジンシル法』のように別途の特別法を早く用意しなければならない」と指摘した。

日本の反応

  • 4月16日、日本政府は韓国側に支援を申し出。17日、安倍晋三首相は「被害に遭われた方、家族にお見舞い申し上げたい」と述べ、菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で「できる限りの協力を行う用意がある」と韓国側に伝えたと発表した。18日には首相が閣僚懇談会で「韓国から支援要請があれば、対応できるようにしてほしい」と全閣僚に指示、太田国交相は「海上保安庁には特殊救難隊機動救難士という優れた技術を持った部隊がある。韓国側から要請があれば直ちに動ける態勢をとっており、何でも協力したい」とし、事故を起こした旅客船については「日本で1994年に建造され、鹿児島や奄美大島、沖縄で運航し、2012年の10月に韓国に売却されたが、日本では問題は全く生じていない」とした。小野寺防衛相も「自衛隊としても、特に掃海艇やダイバーの派遣など、できる限りの支援を考えております。現在、一番近い場所として、佐世保の掃海艇が2隻、下関の掃海艇が 1隻及び掃海母艦1隻に加え、ダイバー多数を派遣可能な状況にしておりますので、要請があった場合には、私どもとして速やかに対応していきたいと思っております。」と韓国側から要請があれば迅速に対応する構えだったが、韓国の海洋警察庁は「申し出はありがたいが、現在、特段支援を要請する事項はない」と支援を辞退している。
    • なお、4月18日、行方不明者の家族が、日本政府の捜索支援の申し出を韓国側が拒絶したとの噂を韓国海洋警察幹部に質問し、騒然となった。幹部は「初めて聞いた。確認してお答えする」と回答した。
  • 4月20日にソウル特別市広津区にあるUNIQLO-AXで公演予定だったPerfumeの「Perfume FES!! 2014」韓国公演は、この事故に伴い自粛となった。
  • 4月18日、博多港から釜山港への高速船「ビートル」を運航するJR九州高速船は高速船の予約をしていた日本国内3団体90人の渡航キャンセルがあったことを明らかにしている。5月3日に釜山広域市行われる予定だった朝鮮通信使を再現するイベントがこの事故のために中止になり、団体が参加できなくなったためである。
  • 4月18日、京畿道教育庁によって、行方不明となった修学旅行生の中に、日本人の母を持つ韓国国籍の女生徒がいることが明らかにされ、日本でも報じられた。
  • 4月17日、この事故を受けて国土交通省は、日本国内の旅客船会社約450社に対して、非常時の脱出手順の確認を求める通達を出した。

韓国・日本以外の国々の反応

  • 韓国政府当局は事故当初、乗員、乗客の計算ミスや救出者数の集計ミスを行って、一時、修学旅行の学生全員救出を発表したり、情報が錯綜し現場や被害者家族を混乱させ、横転後の救出作業も現場海域の悪天候や装備の不足なども重なり殆ど手が出せない状況が続き被害者家族などから不満が噴出しているが当局は18日までに日本やアメリカ、中国、オーストラリア、シンガポール、国連、欧州連合(EU)など33の国や国際機関が哀悼の意を示し、行方不明者の捜索などに協力する意向を表明しているが韓国外交部は「各国の好意に非常に感謝している。援助が必要になった場合は関係部門と検討した上で、これらの国と相談する」とし救援の申し出は辞退する意向を発表している。
  • 16日、アメリカ海軍太平洋艦隊司令部は黄海で活動中だった佐世保港を母港とする強襲揚陸艦USSボノム・リシャール (LHD-6)」を救助のために現場海域へ向かわせ17日から活動予定と発表。しかし、ボノム・リシャール艦から派遣された救助ヘリコプターは韓国海軍の承認を得られなかったため、救助に参加できなかった。バラク・オバマ大統領は、お悔やみとお見舞いの言葉を述べた。
  • 客船沈没について深く哀悼の意と発表した。中国外務省のスポークスマンもこれに対して哀悼の意を伝える一方で、自国の国民の2人乗船の事実が確認されるだけに自国の国民の救助も呼びかけた。習近平国家主席李克強首相は、朴槿恵大統領にお悔やみの電文を送った。
  • 客船沈没の哀悼と発表した。ウィリアム・ヘイグ外相は声明の中で哀悼の意を伝え、可能なすべての支援を惜しまないとも述べた。
  • 17日、「今回の悲劇を受けたすべての人々のために神の慰めと平和の恵みを切に望む」と慰労の意を伝えた。その他、オランダシンガポール国際連合国際移住機関など、33の国や国際機関が哀悼の意を表明し、必要な支援を申し出た。

朴政権に打撃深刻…各紙「三流国家」「じたばた政府」批判

300人を超す死者・行方不明者を出した韓国・珍島沖の旅客船沈没事故が社会の安全重視を掲げている朴槿恵政権に打撃を与えている。韓国各紙は「韓国は『三流国家』だった」「国民が不信の烙印を押した“じたばた政府”」などの見出しを掲げた記事を相次いで掲載、政権の対応を批判している。

韓国紙、朝鮮日報は、「国民は政府関係者の事故対応能力がいかに低レベルかを改めて知った」などとし、朴政権が日本の総務省に近い役割とされる「行政安全省」を国民の安全が最優先との方針から「安全行政省」に変更したにもかかわらず、「このざまだ」と批判した。

発表内容の相次ぐ訂正も不信を買っている。乗船者数の把握には3日ほどかかり、船内にダイバーがまだ進入できていなかった18日には「船内で捜索を始めた」と発表、数時間後に撤回した。

韓国メディアによると、政府への不信感を募らせた安否不明者の家族らの一部が、「朴槿恵大統領に責任を問う」として、抗議のためソウルの大統領府(青瓦台)行きを決行。道路を封鎖するなどした警察と対峙する事態となった。

バスで移動することを阻止されたため、家族らは20日午前1時半ごろ待機所となっている珍島室内体育館を徒歩で出発。騒動を収束するため鄭●(=火へんに共)原(チョン・ホンウォン)首相が現場に出向き、説得を試みた。

家族らに取り囲まれる中、首相は「罪人になった気分だ」としながら、「これまで出たすべての方法を検討して用いる」と述べると、家族らは「すべて嘘だ」「同じことばかり繰り返している」と反発を強めた。

鄭首相は今回の事故でソウルと現場を度々往復しており、政府の異例の対応ぶりがうかがえる。

韓国では大規模災害時の対応や処理などにあたって、時の政権が直接、世論の批判にさらされることが多い。1990年代に大統領を務めた金泳三氏は、500人以上が死亡したソウル市内の百貨店崩壊事故など在任中に相次いだ大事故の記憶と結びつけられ、韓国民の間での人気は今も低いままとされる。

折しも、韓国政府は25日からのオバマ米大統領訪韓を控え、ソウル市内での警戒を強め、反政府デモや政治的な騒動に神経をとがらせている。

朴大統領はオバマ大統領との米韓首脳会談など、重要な外交日程をこなす一方で、事故の対応にも万全を尽くすことが求められている。

朴政権浮揚せず。オーナー遺体を「ホームレス」

韓国警察は2014年7月22日、旅客船セウォル号沈没事故で、運航会社「清海鎮海運」の実質的オーナー兪炳彦ユビョンオン容疑者(73)の死亡を発表、事故の全容解明は困難となった。当初、兪氏の遺体をホームレスなどと誤認した警察当局は厳しい批判を受け、担当の警察署長を更迭した。兪氏の逮捕と処罰により、政権浮揚を図ろうとした朴槿恵パククネ政権の思惑は頓挫した。

事件が動いたのは21日夜だ。韓国国立科学捜査院の鑑定で、6月12日に順天の梅畑で見つかった変死体のDNA型が、データベースに登録されていた兪氏のDNA型と一致した。韓国警察は、最終的な特定のため、指紋の採取や遺留物の再確認を行い、兪氏と断定した。身元確認に1か月以上かかったのは、警察が当初、遺体をホームレスか認知症の高齢者と判断したためだ。

遺体は腐敗が激しく、争った跡もなかった。遺体の脇にあったカバンには、兪氏一族の系列会社が製造した健康食品の空き容器があったが、「順天署は当初、兪氏の可能性を全く考慮しなかった」という。

捜査当局は5月16日に兪氏の逮捕状を請求。5月下旬には、兪氏の支援者が経営する順天の食堂に潜伏しているとの情報をつかみ、延べ8000人を動員して捜索した。梅畑は食堂からわずか2.5キロだった。大捜査網を敷きながら、兪氏を取り逃がしたことに加え、身元確認が進まなかったため、与党セヌリ党の金武星キムムソン代表は22日、「無能な警察がいるからセ号事故も起きた」と厳しく批判。警察庁は22日付で、順天署長を更迭した。

関連項目